70億光年彼方のガンマ線バースト発生源 星の死の謎解明に迫る研究
2019年6月25日 07:35
ガンマ線バーストとは、ガンマ線が閃光のように放出される現象で、天球上ではランダムな位置で1日に数回程度観測されている。厳密な意味で、発生原因は未解明の部分が多いが、超新星爆発時にはガンマ線バーストが生じると考えられている。
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ガンマ線バーストの観測事例は、銀河系外のものがすべてであるが、銀河系内でも数百万年に1度の割合で発生していると考えられている。ガンマ線バーストが銀河系内で生じ、地球を直撃した場合、生命の大量絶滅の恐れがある。今から4億5千万年前に地球上で起きた大量絶滅がガンマ線バーストによるものであるという研究もある。
また、ガンマ線バーストの持続時間には統計的に見て2つのピークがある。これはガンマ線バーストの発生機構が2種類あることを示唆するものである。1つのピークは0.3秒あたりにあり、もう1つのピークは50秒あたりにある。
持続時間の短いものをショートバースト、長いものをロングバーストと呼んでいる。ショートバーストは、中性子星どうしの合体が原因であることが有力視されており、ロングバーストは、大質量の星の極超新星爆発が原因であることが判明している。
ガンマ線バースト発生源にはGRBで始まる名称がつけられている。GRB190114C(2019年1月14日に観測された3つ目のガンマ線バースト発生源という意味)は、NASAのSwift衛星によって発見された、地球から70億光年の遥か彼方の宇宙にある天体である。
この天体から発せられた信号に0.8%の偏光があることが見出された。電磁波は電場と磁場が垂直に振動する横波として空間を伝播する存在で、ガンマ線バーストの偏光の度合いを調べることで、発生源天体の磁場の強度や構造が推定できる。GRB190114Cの偏光量0.8%は、発生源が太陽の磁場サイズに近い大きさであることを意味している。
ガンマ線バーストの発生源となる天体ごとに、その偏光量はまちまちである。同じ偏光量を示す天体は、磁場の強度や構造が似通っていると推定できるため、ガンマ線バースト発生源の偏光量の測定データ数を増やしていくことで、今後、発生源天体の構造を詳しく知る手掛かりとなる可能性がある。(記事:cedar3・記事一覧を見る)