介護業界でM&Aを駆使するソラストの深謀遠慮

2019年6月11日 12:01

  介護事業を展開するソラストの藤河芳一社長は、「積極的にM&A戦略と取り組む」と言い切っている。

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 医療機関向け事務関連業務を祖業とするソラストが、介護関連事業に進出したのは1999年。介護保険制度施行の1年前のこと。時間の経過とともに、事業領域を拡大していった。訪問介護・デイサービス・都市型軽費老人ホーム・グループホームetc。前3月期期末で総事業所数は383カ所。在宅の利用者数は月間1万5009人。施設系サービスの入居者数は同2583人、稼働率95.5%。

 周知の通り、介護関連事業は「10兆円」ともされる巨大市場。が、担い手の業者の8割方が中小規模。それが「スタッフへの低賃金・低福祉⇔人手不足・高い離職率」の背景にもなっている。言い換えれば業界の諸問題を解決するには「淘汰・再編」による、是非論もあるが利用者・スタッフが安心できる大規模業者の出現が不可欠。

 そうした状況下で惹かれたのが、冒頭の発言。現に直近でもベストケア(デイサービス・ショートステイ・訪問介護等を展開)/日本ケアリンク(介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者専門賃貸住宅が主軸)といった業者を傘下に収めている。

 そしてこうしたトレンドの推進は至2030年の「経営計画」にも明らか。2018年3月期に対し「売上高4.0倍の3000億円、営業利益4.8倍の200億円」が掲げられ、「介護分野の拡充」が明記されている。

 ソラストのこれまでの展開を振り返ると、特長は以下のように集約できる。

★デイサービスと訪問介護拠点の併設:双方のスタッフが情報を共有。自宅での状況を伝えることで、デイサービスの機能向上プログラムが効率的に組める。結果(どう変わっていくか)を介護士が確認する。デイサービス⇔訪問介護が好連携している。

★介護福祉法に基づいた、都市部での定員20名以下の小規模軽費老人ホームの展開:入居者の収入に応じて入居費用が決まる。年収150万円以下から310万円以上に詳細に区分され、応じた入居費用が施設・地域別に定められている。

 要するに「効率的展開」「入居者に優しい展開」が図られている。

 また前記の「経営計画」には、ドミナント効果の追求が謳われている。具体的には市・町等をさらに細分化したエリアを定める。各エリアには、訪問介護拠点・居宅介護支援事業所・グループホーム・有料老人ホーム等を1カ所以上配置するという計画だ。前期末の300エリアを3.5倍以上に細分化し対応するとしている。M&Aが実現の武器になることは言うまでもない。

 現状の収益動向は前期の「13.3%増収、20.1%営業増益」に対し今期計画は、「12.5%の増収、13.3%の営業増益」。アナリストは「目利き力を活かしたM&A戦略で、伸長を実現している」とする。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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