ケプラー宇宙望遠鏡のデータから地球サイズの系外惑星18個発見 独のチーム
2019年6月2日 21:47
ケプラー宇宙望遠鏡のデータを解析した科学者チームは、地球型の太陽系外惑星を新たに18個発見した。この中には、これまでに発見された最小の太陽系外惑星も含まれている。
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■太陽系外惑星
太陽以外の恒星を周回する惑星を、太陽系外惑星(系外惑星)という。太陽はごくありふれた平均的な恒星であることが、分かっている。太陽が惑星を持っているのであれば、多くの恒星が惑星を従えていると考えるのは自然である。
太陽系外惑星を探す動機は、生命を宿す星は我々の地球だけなのかという疑問から発している。地球のように生命が存在する環境の条件として、水が液体の状態で存在できることが挙げられる。惑星に水があった場合、地表に液体の水が存在できる軌道の範囲のことを
「ハビタブルゾーン」という。
■ケプラー宇宙望遠鏡
ケプラー宇宙望遠鏡は、地球型の太陽系外惑星を探すため、NASAが2009年に打ち上げた宇宙望遠鏡だ。トランジット法と呼ばれる、惑星が恒星の手前を横切る現象を観測する方法により、探査を行った。
惑星が主星の前を通過すると、主星がわずかに減光して観測される。このわずかな変化から、惑星の大きさや公転周期が推定できる。2018年10月30日に運用が終了するまでに50万個以上の星を観測した。
■今回の研究成果
今回研究を行ったドイツのチームは、データを解析するアルゴリズムを修正し、光度のゆるやかな変化も検出できるように改善した。これによって、地球サイズの惑星に対する感度を向上させることに成功した。
改善したアルゴリズムは、既に惑星が見つかっている517の恒星データで試された結果、18の恒星で地球サイズの惑星が発見できた。今回見つかった惑星のほとんどは主星との距離が近いため、表面温度が100度を超える灼熱の世界だが、1つだけハビタブルゾーンにいる惑星も見つかっている。
ケプラー宇宙望遠鏡のデータはまだ大量に残っている。また2026年には、ESA(欧州宇宙機関)によって、ハビタブルゾーンにある地球型の太陽系外惑星を探索する宇宙望遠鏡「PLATO」(プラト)の打ち上げが計画されている。
今後新しい解析アルゴリズムによって、生命が存在する可能性のある惑星が多く発見されることが期待される。(記事:創造情報研究所・記事一覧を見る)