地球への彗星や小惑星の衝突、木星などの巨大惑星が防いできたか
2019年5月29日 12:05
太陽系外の惑星研究者たちの中には、太陽系に存在している巨大惑星が、地球の生命を宇宙の外敵から守る役目を果たしてきたという仮説の検証を目指す学者もいる。彼らは、木星のような巨大惑星が、地球に小惑星が衝突するのを防ぐ役割を果たしてきたと主張している。
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太陽系では、無数の彗星や小惑星が周回している。その中には地球に衝突する可能性を持った天体もたくさんある。だが人類史上、小惑星や彗星が地球に衝突して多くの生命が絶滅の危機に瀕したという記録は残されていない。つまり少なくとも、文字による記録をたどることができるおよそ1万年前までさかのぼっても、小惑星クラスの比較的大きな天体の地球への衝突はなかったのである。このような状況をもたらしているのが、巨大惑星だというのだ。
木星のような巨大惑星が彗星や小惑星をその巨大な重力によって引き付け、地球に衝突する可能性をごくわずかなものにしてくれている、というのが彼らの主張だ。実際に木星は1994年にシューメーカー・レビー第9彗星をその巨大な重力で引き付けて自身に衝突させた実績がある。
当時、木星にいくつもの連続した黒い斑点が写った映像は、世界中の天文ファンだけでなく多くの人々を驚かせた。もし木星が存在していなかったら、地球にはもっと頻繁に小惑星が降り注ぎ、生命の進化どころではない世界になっていた可能性があるという。
太陽系外の巨大惑星は、その恒星系の形成過程の中で初期は恒星に近い公転軌道をとっていたとしても、やがて同等の大きさの巨大惑星どうしが重力干渉を起こし、重力バランスが崩れて、恒星から離れた場所にはじき出される。木星、土星、海王星などの巨大惑星がすべて、地球と比べて太陽から遠く離れた位置にあるのはこのためである。
観測技術の進歩により、最近は恒星から離れた位置を回る太陽系外の巨大惑星の公転周期を測定することが可能になってきた。その原理は、恒星が巨大惑星の重力によって位置に揺らぎが生じるのを直接測定することによるものである。この揺らぎの周期がわかれば、巨大惑星の公転周期が推定できるという論法である。
ちなみに太陽系における外惑星の公転周期は、木星が12年、土星が30年、海王星は164年と地球に比べて極めて長い。近い将来、太陽系外の多くの巨大惑星の公転周期が明らかになり、地球のような知的生命体の進化を手助けしてきたことが証明される日が来るかもしれない。(記事:cedar3・記事一覧を見る)