FCAとルノーが統合を目指す狙いとは?
2019年5月28日 08:11
FCA(Fiat Chrysler Automobiles)がルノーに経営統合の提案を行った。実現すれば、日産自動車・三菱自動車はその傘下となるかもしれない。年間販売台数は、FCAとルノーで計870万台、日産・三菱を加えると1,600万台規模となる。世界最大の生産規模だ。気になるのは、日産・三菱が事実上ルノーに統合されて、日本から雇用が奪われてしまうのかだ。
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FCA傘下の企業(年間生産台数:約590万台)は、
・イタリア企業(フィアット、アルファロメオ、アバルト、ランチア、マセラティ)
・アメリカ企業(クライスラー、ジープ、ダッジ、ラム・トラックス)
ルノー傘下の企業(年間生産台数 約1020万台)は、
・フランス企業(ルノー:約280万台)
・韓国企業(ルノーサムスン:約30万台)
・日本企業(日産自動車:約560万台、三菱自動車:約150万台)
これを加えると1,600万台規模を誇ることとなる。
■メリット:販売ルートが世界中に広がる
参加する予定の企業を見れば、世界中でそれぞれ得意な地域が違っている。シナジー効果を得るには、まず拡販できる地域が各社とも広がることが考えられる。だが競合する地域も出てくることとなる。クライスラーと日産では北米で競合するなどだ。
■デメリット:生産のシナジー効果が出にくい
トヨタは「TNGA」を進めているが、このような「混流生産」「スウィング生産」などの効果により各生産拠点の平準化を進めるには、個別企業の集合体では効率よく計画を進めることが難しい。ルノー・日産・三菱アライアンスでも現在衝突しているように、調整は容易ではない。マツダやトヨタのように、FCA・ルノーが世界規模で統一して生産のシナジー効果を進めることには、はなはだ疑問符が付く。
■生き残れる可能性
FCA・ルノーで生き残れる可能性は、傘下に個性ある企業が集まっているため、特徴ある車種を世界に広がる販売網で台数を増やし、利益を上げることにある。トヨタのように、生産方法によって平準化でコストを下げ、生産規模を維持していくことは容易ではない。カーシェアなどサービス業に打って出ることも難しいであろうが、逆に特徴ある車種で売値を維持して利益を出す方向性が考えられる。
■「日産とホンダ」が連合せよ
FCA・ルノーでは「弱者連合」ともとれる背景がある。特徴あるブランドは良いのだが、そのため開発費、生産コストなどではシナジー効果を出しにくい。また「マネーゲームに終わる」可能性があり、日本の雇用を守れるのかは疑問だ。これからの中国市場を見据えて、ホンダと日産で、これからの自動車業界激変に必要な資金手当てを行い、ぜひとも日本企業としてのスタンスを維持してほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)