「新東証1部」を巡る兜町住人のかまびすしい声・声・声
2019年5月26日 21:35
野村ホールディングスの永井浩二CEOは24日、「東証改革」の有識者懇談会でグループ企業、野村総研のメンバーが懇談会の内容を野村証券ストラテジスト→証券営業部門→一部顧客に漏洩した事実を認め、謝罪会見をした。断罪されて然るべき。だが件の漏洩問題との因果関係は分からないが、「東証改革論」が独り歩きのスピードを加速させていることは事実である。とりわけ「東証1部上場企業の指定区分」論が、かまびすしい。
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兜町を歩いてみて諸々を耳にした。「プレミアム市場」「スタンダード市場」「エントリー市場」に区分され、最上位の「プレミアム市場」に残る企業の条件は「時価総額250億円から500億円以上」がまるで「決まり事」のように語られている。確かに東証サイドから漏れ伝わってくる「東証1部を世界に冠たる優良企業の市場にしたい」等々を勘案すると、頷けなくもない。
兜町(しま)は何でも投資材料にしてしまう街。「プレミアム市場入りに躍起の姿勢を示している企業を狙え」という声が、飛び交っていた。例えばこんな具合だ。
「フランスベッド(ホールディングス)は今期計画こそ回復を強調する数字を発表しているが、前3月期は1.2%の減収/9.3%の営業減益。が、12.5円配当計画を15.5円に上方修正した。また株主還元策の一環として、上限200万株の自社株買いも打ち出した。ブランドはあっても、フランスベッドの時価総額は400億円強。なんとしてでも500億円の壁を突破しておきたいという意向が滲み出ている。妙味ありだよ」。
歩き回るうちに兜町の住人に「プレミアム市場入りを是非にも果たしたいと考えている企業」を計る幾つかの「物差し」があることを知った。以下の様な具合である。
(1)株主優遇策を新規に導入、ないしは創業〇〇年等にかこつけて追加した企業。
(2)増配を、ないしは配当性向目標を新たに打ち出した企業。
(3)自社株買いを発表した企業。
要するに「皆さん当方の施策をご理解の上、投資してください」という次第。だがこの範囲では「投資対象を広げよう」という兜町独自の思惑とみるのが常套策と考える。私が一番興味を持ったのは、(4)「連続増収営業増益企業」だった。
時価総額は130億円余~270億円余に留まるが、今期予想を含め10期連続増収増益企業がある。メーカーと小売店を結ぶBtoB事業を展開するラクーンHD。自動車業界向け情報プラットホーム等を展開するマークラインズ。化学品・産業資材・科学機器などいわば産業界の裏方企業である三洋貿易である。8-9期組でも時価総額250億円前後の企業が8社余りある。
「新東証1部企業/プレミアム企業」を巡る、兜町住人の「鵜の目鷹の目」のヒートアップは続きそうである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)