アパレル大手ワールドのネット通販比率が12%超に至った足跡
2019年5月21日 17:31
着衣の類は全て家内任せ。が、ことワールドは別。30年余前になるがワールドの社員の奥方(フリーアナウンサー)とラジオ番組を担当したことがある。その折、「社員販売会で購入した」という夏物ウエアをプレゼントされた。GOOD。以来、年に1-2品はネットで購入している。
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衣料品もネットで購入する時代。ワールドはアパレル業界にあってはネット通販の「先駆け組」。総合アパレル大手のワールドが通販に進出したのは2003年。当初は通販雑誌「ルナ」の掲載品とオリジナル商品で立ち上がった。以降、歴史を繰るとこんな具合。
05年:ワールドグループ全社のECサイトとして「ワールド ダイレクトスタイル」を立ち上げ品番を大幅に拡充。10年秋:店舗と連動したポイントサービス「ワールド プレミアムクラブ」を導入。11年4月:ECサイトの名称を「ワールド オンラインストア(WOS)」とし全面リニューアル。16年秋店舗とECの在庫連動を開始、オムニチャネル戦略に対応。
同社を知るアナリストは「店舗と連動したポイントサービスの導入時点から、オムニチャネルは視野に入っていた」とする。ワールドの広報担当者も「当社のEC事業が広範な認識を得たのは、WOSと店舗の共通ポイントサービスの浸透と捉えている。現在WOSの稼働会員数は約605万人に達している」とした。外部ECへも、「楽天」「Yahoo!」など25のサイトに出店している。
主力のWOSサイトでは「アンタイトル」「インディヴィ」「ピンクラテ」「タケオキクチ」「ハッシュアッシュ」など約50の人気ブランドが、また子会社のファッション・コ・ラボが展開する「ファッションウォーカー」(日本最大級のレデイ―スファッションサイト)では20歳から34歳に照準を合わせた「ジェラートピケ」「スナイデル」など、ワールド以外の300以上の人気ブランドが取り扱われている。WOSは、レディースを中心にメンズ・キッズ・ファッション雑貨・ライフスタイル雑貨など約5万点の商品が取り揃えられている。
今3月期中間期時点のEC事業の取扱高は約146億円、総売上高比率は12.4%。ECの今後の方針については「EC比率を何%に高めるといった目標数値は設定していない。直営店舗との相互送客(O2O)に注力していく。また自社ECで培ったノウハウを活かし、他社ブランド公式ECサイトの運営受託にも積極的に取り組んでいく」とした。昨年9月の再上場で調達した資金のうち約100億円は、ネット通販を含むデジタル事業のシステム投資に向けるという。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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