2020年はアインシュタイン没65周年 「時間の本質」に迫る 重力と光との関係は
2019年5月2日 11:32
2020年がアインシュタイン没65周年アニバーサリーイヤーであることにちなみ、今回は時間に関する様々な誤解を明らかにしながら時間の本質に迫る。早速ながら以下の命題の正否について考えてみていただきたい。
【こちらも】2020年はアインシュタイン没65周年 「相対性理論」って実は何?
【命題(1)】時間は宇宙のどこにいても同じように流れている。
【命題(2)】時間と重力は独立した存在で相互作用を持たない。
【命題(3)】時間と光は独立した存在で相互作用を持たない。
正解は全ての命題は誤りである。その理由を順を追って説明する。
まず「【命題(1)】時間は宇宙のどこにいても同じように流れている。」が間違いであることは、以前2020年はアインシュタイン没65周年 「相対性理論」って実は何?で示した通りで、乗り物に乗っている場合、速度が速いほど時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は全く進まなくなる。
次に「【命題(2)】時間と重力は独立した存在で相互作用を持たない。」が誤っている理由を説明する。重力の強弱は重力加速度で決まる。地球上では重力加速度は9.8m/秒2だが、地球の約6分の1の重力しかない月では重力加速度は1.62m/秒2である。ここで重力加速度の単位に着目してほしい。
重力を強くしたければ時間の進み方を遅くすれば良いことは中学生にでも理解ができる。つまり宇宙では重力が強い空間ほど時間の進み方が遅いのだ。重力によって時間の進み方が異なる宇宙空間の性質を「時空のひずみ」という。実は場所による時間の進み方の違いが重力を生んでいるのである。
最後に「【命題(3)】時間と光は独立した存在で相互作用を持たない。」に潜む間違いを説明する。相対性理論によれば光も重力によって曲げられる。このことは何度も観測され、正しさが実証されている。
だが光は、重さがないので重力で引き寄せられることはない。光が重力によって進路を曲げられるように見えるのは空間のひずみによる。
たとえば宇宙があなたを中心にして右側と左側で時間の進み方が少しだけ違うと仮定しよう。右の空間のほうが、左の空間よりも5%だけ時間の進み方が遅い場合を考えてみてほしい。そして光があなたに向かって真っすぐに飛んでくる場合をイメージしよう。
光速は絶対的不変であるが、光を自動車に例えると、右側の車輪は左側の車輪よりも回転数が5%だけ少なくなる。すると光は右側に曲げられることになる。つまり光は場所ごとの時間の進み方の違いによって真っすぐ進めなくなるのである。
この宇宙は光も時間も重力も切っても切れない密接な関係にあることがこれでお判りいただけたであろう。光と時間と重力が全く独立した存在であると考えてしまうのは人間の先入観に他ならない。この誤りに気付いたアインシュタインの偉大さにつくづく感心させられてしまう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)