日産シンボリックカー戦略 GT-Rがいくら注目を集めても、売れる台数は限られる
2019年4月20日 13:16
■「GT-R」「GT-R NISMO」の2020年モデル発表
4月17日、日産自動車から「GT-R」および「GT-R NISMO」の2020年モデルが発表になった。さらに生誕50周年を記念した特別仕様車、「50th Anniversary」が設定された。現在のGT-Rボディとしては最後の改良かもしれない。そのためか改善がよりマニアチックになり、直接売り上げに結び付かないイベントのように感じる。
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日産・GT-Rはスカイラインと分離され、日産車全体のシンボリックカーとなったのだが、この営業戦略は間違いだろう。全体を一度に結び付けるのはユーザーにとって難しいようで、「スカイラインGT-R」から「日産・スカイライン」とつなぎ、「日産のシンボリックカー」との位置づけになれば、GT-Rが注目されると「スカイライン」が売れるようになるのだ。間接的にみえるが、日産車全体のイメージレベルも上がることになり、実際の売り上げに結び付くのだ。その「スカイライン」を除いてしまっては、ユーザーの潜在意識の中では「GT-R」が日産のシンボルとはならない。
「ストーリー性」を理解することが、「営業・宣伝」の戦略として正しいのだ。意外に専門家に知られていない、技術的真実だ。
今回、GT-R標準車は、よりレーシングテクニックを導入してきている。熟練工によってハンドメイドされた最高出力419kW(570PS)/6800rpm、最大トルク637Nm(65.0kgfm)/3300-5800rpmを発生するV型6気筒DOHC ツインターボ「VR38DETT」型エンジンだ。
レスポンス向上策として、レーシングエンジンに用いるターボ高効率化技術「アブレダブルシール」を採用している。これは、「GT-R NISMO」と同じものだ。さらに6速DCTのアダプティブシフトコントロールをより活発にしたようだが、速さを求める方向だと燃費には最適とは言えまい。いまどき、GT-Rだから許されることなのだろうか?
サスペンションセッティングも変更してきたようで、ハンドリングがよりクイックになる方向性であるようだ。アダプティブシフトコントロールでシフトダウンもより敏感にしているのだが、ブレーキの利きもより軽い踏力で制動力が効き、クイックにしている。これらは、ブースター特性のチューニングよりなされている。
つまり、今回の日産・GT-R 2020年モデルは、チューニングのやり直しでよりクイックな方向性にされたということであろう。
ボディカラーには「ワンガンブルー」が加えられ、新鮮味を出そうとしている。見方を変えれば、成熟しきった現在のモデルの「GT-R」が買い時なのかもしれない。めったに味わえない「レーシングカーの公道バージョン」の出来上がりだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)