東証構造改革を兜町(しま)の住民は早くも材料視し始めた!

2019年4月14日 18:20

 日本取引所グループの中核である「東証1部」の「市場構造改革」の動きが、近く本格化する。東証は3月、株式市場を4つから3つに再編する案を示した。俄かに浮上したのが東証1部を住処としていた企業の「降格」「退場」論。

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 「東証1部上場」は企業にとり最大・最高のブランド。昨年12月21日時点で東証1部企業は2131社。「基準論」、「何故再編」といったそもそも論に関する話は現時点では全て「仮」の話し。が、真実味を帯びる形で独り歩きしているのが「時価総額基準で東証1部企業を見直す。より絞り込んだ企業群で東証1部を名実ともに、日本の優良企業の株式市場としよう」とする論である。

 「時価総額500億円超、いや1000億円超」論が市場関係者の間で問沙汰されている。仮に「1000億円超」という縛りで見直すと、東証1部企業は本稿作成時点で約620社。4分の1水準に絞られる。「時価総額基準論」は当然、東京証券取引所のマザーズ市場やJASDAQ市場から東証1部への移行基準にも変更をもたらすことになろう。前者は「時価総額40億円」、後者は「250億円」が従来の移行基準だったがどう変わるというのか。

 日本電産の永守重信CEOは「時価総額こそ、企業・経営者への通信簿」と言い切る。そして具体的に主軸の「世界屈指のHDD用精密小型モーター」の周辺企業を巧みなM&Aの実施で、成長路線を走っている。ちなみに日本電産の時価総額は本稿作成時点で4兆2000億円余。M&A戦略の有無はともかく時価総額=時価×発行済み株式という点から勘案すると、「市場に好感される施策・収益動向」で株価が上昇することで時価総額は増加するわけだから永守氏の「時価総額は通信簿」論は的を射ているといえる。

 兜町界隈では「500億円or1000億円が期待しうる好業績・著名企業物色」論が早くも囁かれ始めている。

 現状の時価総額が240億円から259億円組では、以下の様な企業名を耳にした。

 立川ブラインド工業。第1次取得者向けの分譲住宅主体で、FC制で規格住宅も手掛けるケイアイスター不動産。「リオネット補聴器」で知られる補聴器首位のリオン。オフィス家具大手のイトーキ。空調設備などのメンテナンス主体の日本空調サービス。失礼ながら「馴染みの昔の名前」で東証1部のぬし的な機械商社中堅の椿本興業。

 兜町から戻り、耳にした企業を調べてみた。興味深い企業揃い。例えばリオンは補聴器を軸に安定した収益を継続しながら、新たな成長柱が着実に育ちつつある。「計測機器(地震計や騒音計)」が既に「好調」の表現がつくほど伸長している。兜町歩きで仕込んだ企業群は、是非にも株原稿を書く際に参考にさせていただく。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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