日産に損害のない特別背任罪?(下) オマーンルートの「販売奨励金」は違法なのか
2019年4月11日 08:47
日産から販売代理店側に渡った金額は約35億円、このうちレバノンの投資会社「グッド・フェイス・インベストメンツ」にいくらか流れ、ゴーン被告のキャロル夫人が代表の「ビューティー・ヨット」に約9億円、息子「ショウグン・インベストメンツ」などにも流れたとされる。「ビューティー・ヨット」に流れた資金は、約17億円のクルーザー購入資金の一部に使われたとされている。こんな情報が、なぜ流れてくるのだろう。証拠は示されていないばかりか、情報源は「関係者」としか示されていない。
【前回は】日産に損害のない特別背任罪? (上) これは「リンチ」か?「推定無罪」ならぬ「推定有罪」
これで、「背任罪」の入り口である「不当な資金提供」を立証できるのだろうか?販売代理店が貰った奨励金を含め、正当な対価としてもらった額であれば、それをゴーン氏に還流しても何が問題なのだろうか?「気の合った友人だから支援した」と貸付金として処理されていれば、販売奨励金とのつながりを証明できない。政治家がよく行う手法だ。
「ショウグン」は投資会社であるので、資金を入れていても個人的に使ってしまった証拠がなければ、日本で言うところの「民事不介入」だ。「背任罪」を立証することは、なかなか難しい。
こんな状況で、「独裁者・犯罪者」と情報をリークするのは全くまずい。検察が情報をリークして世論操作する必要が、そもそもあるのであろうか?検察は裁判で粛々と立証していくのが務めであり、裁判官は「世論」に流されることなく証拠を基に審理するのが務めだ。
こうした、「違法行為」であるのかないのかについては公正に裁判官が裁くことを前提として、世論操作をするのが検察のやり方であるのなら、裁判所の審理と同じく公平に被告の反論も認めねばならない。「法廷闘争」で戦術的に優位である必要があることは、「裁判の公正さ」に疑問を抱かせる。裁判官はいつも公正で慄然としていてほしいものだ。また「保釈が異例なのだ」と公言している検察は、反省してほしいものだ。「法の番人は裁判所」であり、裁判所の決定には従うのが「法治国家・民主主義の鉄則」だからだ。
一方で、仮に正当な自分の資金約17億円で購入した「シャチョウ号」であったとしても、200万円の年収のもと、自分の仕事で1/1000の不良も出さない努力をしている従業員に対して、どうして「愛している」などと言えるのか?ゴーン氏の心情はとても許せるものではない。そこに「不良を出す根源」があり、『出したことが問題ではなく、その後の処理方法が問題だ』と言うゴーン被告の弁解コメントは間違いだ。不良を出した「体質」が問題であり、その原因はトップにあるからだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)