日産に損害のない特別背任罪?(上) これは「リンチ」か?「推定無罪」ならぬ「推定有罪」

2019年4月11日 08:40

 日本人として日産自動車に頑張ってもらいたいのは変わらない。日本の雇用をフランスに持ち出す行為は、断じて賛成しかねる。「どのような手段(もちろん法治国家・民主主義の司法制度に反しない限り)を用いても阻止してほしい」ものだ。

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 しかし連日のメディアの報道は、「リンチ」と言われても仕方がないと感じる。「推定無罪」の原則はどこに行ったのか?検察サイドからは証拠が示されずに情報がリークされている。それを受けて、証拠を確かめることなく、連日メディアが「犯罪が確認された」ように報道する。日本人として悲しく恥ずかしい。

 オマーンルートに不正な資金が流れているとの認識が強まっている。「シャチョウ号」と名付けられた豪華ヨット、カルロス・ゴーン被告の息子が代表の「ショウグン」に資金が流れたなど、印象操作はなかなか効果がある。オマーンの代理店に流れた販売奨励金が多額なのだろうか?「金額はゴーンが決めていた」との日産社員の証言がリークされた。なぜ?このような証拠も示されない事件の核心に迫るような証言が公になるのだろうか?検察から流れているとしか考えられない。

 そもそも、この販売奨励金によって日産に被害が出ているのであろうか?金額も少ない。日産自動車の売上高は世界で約12兆円だ。オマーンの販売代理店に支払われた問題の資金は17億円程度で、その内、実質的にゴーン被告の口座に流れたのは約5.6億円余りと言われ、それが日産の損害となっているとされている。

 日産のオマーンでの販売実績は、年間約540億円。販売代理店に対する「販売促進費は年間約6億円」である。販売促進費は約1%余り(年間540億円の売り上げに対して6億円)となる。これが、販売促進費として「不当に大きな額」になる訳もない。それに中東の自動車市場の現実は、日本の販売とは似ても似つかない。「ルートセールス」と言ってよい市場で、金持ち階級に対して力を持つ実力者に資金を提供すれば、部族をまとめることが出来る仕組みだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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