ガソリンエンジンが良い! (9) 発売間近!マツダ3・スカイアクティブ-X「SPCCIエンジン」
2019年4月3日 08:42
「SPCCI (Spark Controlled Compression Ignition)火花点火制御圧縮着火」は、ついに、『スカイアクティブ-Xエンジン』としてマツダ3に搭載され、実用化に踏み出すこととなった。ストイキ燃焼と「HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)予混合圧縮着火」燃焼との移行を、スムーズに連続して行う制御を実現している。
【前回は】ガソリンエンジンが良い! (8) ホンダは 「HCCI」を中断 プレチャンバー・ジェット燃焼へ
ガソリンエンジンは、SI(火花点火)して「火炎伝播燃焼」をすることが基本だ。ディーゼルエンジンは圧縮着火だが、その両方の方式を取り混ぜたように、プラグのスパークで火炎が広がり始めると、その爆発の圧力で爆発寸前だった混合気をさらに圧縮することにより、混合気全体で燃焼を始めるようにする。つまりディーゼルのように圧縮した混合気を、スパークをきっかけとして、安定して燃焼を始めるのが「SPCCIエンジン」だ。
【参考】【マツダ・SKYACTIV-X・新エンジンEVを駆逐するか?】SPCCIで燃費3割改善
マツダはこうした方式で、SIをきっかけとして、HCCI燃焼を取り込み熱効率を上げることに成功している。どこまで熱効率が上がるのかはまだ分からないが、「スカイアクティブ-Xエンジン」としてマツダ3に搭載し発売にこぎつけた。マツダ3の日本での発売は、5月24日に予定されている。
【参考】マツダ・アクセラなどSPCCI(火花点火制御圧縮着火)SKYACTIV-X、順次世界生産へ
「SPCCIエンジン」は、最大λ=3(λ=1が理論空燃比「ストイキ」で通常ガソリンエンジンの混合気)の超希薄混合気の上を行く混合比を使用しているようだ。これにより燃料消費量を削減するとともに、爆発温度そのものを引き下げ、失われる熱を減少させることとなる。しかしながらHCCI燃焼が高負荷状態などの条件では使用できないなど、制限が大きいため、CVTなどで理想的な回転数にとどめる努力が必要なのだ。またHCCI燃焼が使えない高負荷領域、高回転領域などの効率化がさらに必要なことでもあり、ホンダなどが開発を進めるプレチャンバーを設けてジェット燃焼させる技術などとの合わせ技も期待される。
これからは、こうした混合気の希薄化を進めることが本格的に進められると共に、損失を抑える「回生」の技術もより進められることが期待される。そのためマイルドハイブリッドと呼ばれるシステムに見られるがごとき、エネルギー回生システムも有効である。エンジンでの熱効率の向上策だけでなく、モーターとバッテリーを組み合わせた、全ての努力が必要と思われる。
そして、そこには発電方法の熱効率向上が伴わなければ純EVはCO2削減の意味を持たないが、自然エネルギーでの発電コストを下げるなどの努力がなされることにより、EVの効率も上がるだろう。現時点では、PHEVなど複合した熱効率向上の努力が最善であると考えられている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)