三菱地所の次なる一手
2019年3月18日 16:23
東京・丸の内を中心に大型ビル開発を展開する三菱地所が、新しいコンセプトの中規模ビル建設の取り組みを開始した。一口で言えば「スタートアップ企業」向けに照準を絞った、ビル開発・建設である。
【こちらも】三菱地所とブイキューブ、丸の内で「テレキューブ」によるテレワークの実証試験
起業間もない企業は相応の固定費を削減するため、いわゆるシェアオフィスやスモールオフィスを活用する。が、その技術力やビジネスモデル等に秀でた企業は業容の拡がりに伴い、独自のオフィススペースを求めるようになる。
とはいえ既に「成長企業」と目されるような、あるいは大企業が居を構えるような大型ビルは2歩も3歩も先の存在。だが今後の日本経済を勘案する時、秀でた資質を活かした成長企業の育成は不可欠。そうした視点から三菱地所が本腰を入れて取り組み始めたのが、「スタートアップ企業」用中小ビル開拓(シリーズの名称はサークルズ)である。敷地面積100坪前後の土地に、ワンフロア30-100坪の中小オフィスビルの建設が既に始まっている。
年内竣工予定で既に着工がなされているのが、「(仮称)港区東新橋二丁目計画」「中央区銀座三丁目計画」「中央区日本橋馬喰町一丁目計画」。三菱地所では「年間3-5棟程度の開発を計画している」としている。どんな仕様のビルなのか。昨年12月に着工した「日本橋馬喰町」の案件を例にとると、以下のような具合で建設が進められている。
★交通至便: JR総武線:馬喰町駅から徒歩1分。都営新宿線:馬喰横山駅/都営浅草線:東日本橋駅から徒歩2分。
★空間: フロア毎に異なる空間が設営される。例えば、あるフロアには広いバルコニーが設けられる。また専用室内にインナーバルコニーが設けられ、入居者の休息・息抜きの場となる。
★入居テナント専用の共通部には、テナント専用のミーティングスペースが用意され「打ち合わせ場」「応接室」の役割を果たす。
★屋上テラス: シェアキッチンが置かれ、入居テナントに仕事を離れての楽しみ・憩いの場が提供される。
★最低限の家具付きフロアもあれば、独自の内装が可能となるフロアも設けられる。
三菱地所は「大規模再開発に適さない敷地」や「耐震問題等を抱え建て替えを検討しているビル」等を対象に、サークルズビルの展開を図っていくと言う。(記事:千葉明・記事一覧を見る)