ロールスロイス・カリナン 最高級SUVだが、この車をどう理解すればよいのか?
2019年2月18日 15:18
ロールスロイス・カリナンは、価格約4,000万円、車重2,660kg、全長×全幅×全高=5340×2000×1835mm。小型自動車2台分の重量で、10倍の価格だ。世界の富裕層26人の資産は人類の半数38億人の総資産と同じとなっている現実を感じてしまう。この車を理解するには、視野を広げて、世界規模で現在の社会状況を知らなくてはならないだろう。
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ロールスロイス・カリナンはSUVらしく5ドアハッチバックで、後席3人掛けベンチシートは、背もたれを倒して大きな荷室と出来る。その一方で、後席2人掛けで、背もたれは倒すことが出来ずガラスパーテンションで荷室と完全分離されている仕様もある。このタイプが、この車の本質であろう。つまり、自ら運転するオーナーと、運転手付きのオーナーと2種類の市場に対応しているのだ。
かつては、エンジン出力を公表する必要性すらないと、世界最高級メーカーを自負するロールスロイスだった。しかし、現在では、そのスペックを知ることが出来る。「必要にして十分」として、顧客がすべてをメーカーに任せる「真のブランド」と言うわけだ。エンジンは6.75L V12 DOHC 48バルブ ツインターボ、 571ps(420kW)/5000rpm、850Nm(86.7kgm)/1600rpm。8段ATと組み合わせられる。値段は4,000万円ほどだが、内装など装備品についてはオーナーがかなりリクエストできる。
ロールスロイス初の4WDだそうで、「砂漠のロールス」と言われたレンジローバーにも引けを取らない本格的オフロード性能を持っていると言う。乗り心地については世界最高と言いたいところだが、乗ってみてはいないので、各種の試乗記をまとめてみると、「フワフワ」で不安感があると言う人もいる。感覚は個人的な問題のためなんとも言えないが、それにはSUV特有の問題点がどうしても付きまとうのだ。
それは、SUVの着座位置はセダンに比べると高くなるため、どうしてもローリングが出ることだ。庶民的車で申し訳ないが、スバルは最近SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)と呼ぶ、新しいプラットフォームを全車に順次採用してきている。ロールスの「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と比較するのも気が引けるのだが、同じSGPを採用したインプレッサとXVを連続して乗ってみると、インプレッサより着座位置が高いXVにはどうしてもローリングが付きまとい、修正舵を必要と感じてしまう。
これが、セダンやスポーツカーのように低い着座位置だと、カーブ時は水平のまま旋回していく感覚になる。セッティングにもよるのであろうが、SUVのXVだと、舵(ハンドル)の切り始めなどで、どうしてもノーズダイブ、ロールなどの動きを感じてしまう。これは、着座位置の高いSUVの特性として認めるしかないのであろう。だから、恐らくロールスロイス・カリナンでも、SUV独特のローリングがあろうことは推測でき、それが、「フワフワ」と感じるのではないだろうか。
ロールスロイス・カリナンの6.75Lは、今となっては巨大なエンジンと言える排気量だ。これは、モーターアシストを装備するしかあるまい。カリナンは、ファントムに比較すれば低回転トルクを重視したセッティングのようだが、この巨体でオフロードを走るとすると、モーターのアシストは欠かせまい。エンジンはポルシェなどのグループからの技術提供のようなので、これを将来装備してくるかもしれない。
ロールスロイス・カリナンを純粋に自動車と見れば、「1つの答えを示している」とも言える豪華・高性能な車だ。大衆車と同じ基準で評価するのは意味がないであろう。しかし、地球温暖化防止の基準で見れば、「車重1トン以上の自動車の製造は禁止」とすべきなのであろう。地球の空気は、人類だけでなく万物の公平な宝であるのだから。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)