AIで消える職業を再考察(1) 現実に置き換わるのは事務系 電車のAI自動運転が進まないワケ
2019年2月4日 15:55
■4年前の計算値
2030年ごろになると、日本の労働人口の49%がAIやロボットに置き換わるとの試算がある。4年前の、野村総合研究所とイギリス・オックスフォード大学との共同研究であるそうだ。601の職業ごとに確率をはじき出している。全体としての傾向には異議はないのだが、どの様な要因を考慮して計算したのかは、いささか疑問がある。
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つまり、社会状況など広く色々な関連性を考慮していないため、現実的でないのだ。AIによる問題には、IT関連技術者だけでなく、社会学者、歴史家、心理学者、哲学者などなど、多くの専門分野からの考察が必要だ。なぜなら、AIに限らず技術的進歩は、人間の能力を拡大するもので、それが急速にやってくるために、変化が激しく追いつけない人類が見えるからだ。
「シンギュラリティ(技術的特異点)が2045年にやってくる」とブームになりつつあるが、それは、技術革新は常に起こりつつあり、急速な社会の変化をもたらす意味で、2045年ごろAIの知能が人間の知能を超える時期と重なり、変化を感じられるだけだ。厳密に言えば「シンギュラリティ」は特定できず、現在も起こりつつあり静かに訪れるのではと考える。
■日本で電車のAI自動運転が進まないワケ
もっとも置き換えられる可能性が高いとされている「電車の運転手」だが、イギリスなどでは急速に準備が進められている。しかし、日本は極めて遅い。技術的に、AIによる自動運転の可能性が高いことは納得できる。むしろ、急速に進めなければならないと感じる。それは、踏切事故が起きているからだ。「電車はすぐに止まらない」ので、画像分析技術がこれほど精度を上げている現在、電車が通過する前方の踏切画像を確認して信号機を操作する、あるいは緊急ブレーキをかけることはできるはずだ。これを進められないのには、全く納得がいかない。電車は正確にダイヤを守り、線路の上を走るので、自動化は自動車に比較してきわめてやりやすい。なぜ、電車のAI自動運転が進められないのか?
残念ながら、答えは明確だ。「労働組合」の存在だ。銀行では数万人単位のリストラが始まっている。常識的には、これは労働争議になってもおかしくない条件だ。しかし、銀行労働組合は大人しい。社会インフラとしての責任のある銀行など金融機関は、自らがリストラを行うのなら代替えの産業を興す責任を自覚すべきだ。しかし、特段の対応をしないでリストラだけを進めるのならば、経済を貶めるきっかけを作り出していることを責めるべきであろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)