オールジャパン全固体電池開発 量産体制トヨタとパナソニックの提携 いよいよ社会問題
2019年1月21日 16:44
トヨタの全固体電池が量産準備に入ったとみてよいだろう。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、かねてより全固体電池の開発を進めていた。トヨタが長年開発してきた全固体電池だが、中国・韓国などの追撃が激しいところだ。そこで、全固体電池に関わる日本の企業・研究機関などをまとめ、世界に先駆けて開発を成功させようと努力が続けられてきたのだ。
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その中で、トヨタとパナソニックが新会社を設立して、量産体制を取ろうとしているのだ。それは、電池業界の覇権争いとは別に、EVが実用化されようとしていることを表している。
■EV実用化への道のり
日産リーフは、日本国内唯一のEV量産車だった。このほど「ニッサン・リーフe+」を発売し、実用化に向けて前進している。リチウムイオン電池を40kWhから62kWhに上げ、航続距離をJC08モード・400kmから570kmに向上させたが、車重が160kgから180kgの増加を招き、いかに現在のリチウムイオン電池の効率が悪いかを示してしまった。それでも、より現実の航続距離に近いとされるWLTCモードで322kmから458kmと大幅に伸び、最高速も140kmから10%ほど向上させている。
もう「これで実用には十分ではないか」と考える向きもあるのだが、2つ大きな壁がある。1番目は充電時間だ。80%までの急速充電時間は約50分のようで、これでは出先で気軽に充電とはいかない。充電設備が少ないのと、あっても先客があれば充電に数時間かかるなども起こりえる。EVが普及すると、余計混雑することとなり問題だ。全固体電池では数分となるようで、重量もかなり軽くなるとみられ、この全固体電池の普及がEVの実用化には欠かせない条件だ。
2番目として、電池の劣化が大きい。5年ほどでリーフは電池の載せ替えが必要のようだ。使い方にもよるところだが、いずれ電池を載せ替えなければならない。電池劣化により実用性のさらなる劣化を招いている。そのため中古車市場の価格が成り立たないなど、費用の点でかなりの負担となっていた。これが、10年以上劣化が進まず、載せ替え費用がなくなると、完全にガソリン車の実用性に追いつくこととなる。社会インフラの整備次第だが、ガソリン車よりも実用性があるとなれば、EVが爆発的に普及する可能性もある。
■産業構造の変化に社会が追いつけるのか
残る問題は、産業として自動車メーカーの雇用できる人数がどれほどになるのかだ。エンジン関連の部品がなくなると、4割ほどの仕事がなくなると言われている。これにロボット化が進んでAIの導入が重なると、雇用できる人数は大幅に減り、社会の利益還元の仕組みを考え直さねばならなくなる。
また、この数年で、株主還元は上場会社だけで倍加して15兆円になっていると言う。それにはAIなどの導入による人件費削減が効いているともいう。確かに銀行が数万人単位のリストラ計画を発表している。このままの社会構造では、投資家は大儲けして、失業者が増え続けることとなる。このままの給与による配分制度で行くと、「働かざるもの食うべからず」で社会が成り立たない。市場経済も成り立たない。何しろ消費者に資金が回らないからだ。資本構造の抜本的見直しが迫っている。
いよいよ、社会問題となってきたようだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)