第2ラウンド 仏政府「ルノー・日産」経営統合要求、日産会長ルノーが指名へ
2019年1月20日 12:45
カルロス・ゴーン解任で「ほっと」したのもつかの間、早くも第2ラウンド開始。フランス政府出身のマルタン・ビアル・ルノー取締役がフランス政府の代表団として、日本国政府関係者に「ルノー・日産」を持ち株会社で経営統合の意向を伝えたようだ。さらに、日産自動車の空席となっているCEO兼会長職をルノーが指名することも伝えている。これは、西川日産社長以下の現日産経営陣、並びにその立場を支持しているとみられる日本政府に宣戦布告ともとれる発言だ。フランス政府はカルロス・ゴーンについては切り捨て、その上で日本側と正面から争う姿勢と考えられる。
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多額の出資をしているフランス側(フランス政府・ルノー)の姿勢は当然であるのだが、ルノー・日産・三菱アライアンスの「正当な経営の枠」をはみ出して、日本の雇用をフランスに持ち出すことは、日本側(日産・三菱・日本政府)は看過できまい。
日本側としては、ルノー・日産の間の「改定アライアンス基本合意書(RAMA)」が頼りであろうが、どの時点で「日産がルノーの株式を買い増すのか?」が注目だ。しかし、それは当然にルノーが認めるわけはないので、その時はアライアンスの解消に進むときでもある。その場合、フランス側が日産株をどのように処分するのかも注目だ。中国進出をカードに使われると心配だ。マクロン大統領の気質では譲れないところであるので、「雇用の移動を制限する」など、何らかの妥協案が裏で結ばれる可能性は大きい。どちらにしても、西川社長の運命は厳しいものがある。やはり、資本の原則は変えがたいものであろうか?
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【参考】【コストカッター、カルロス・ゴーン(8)】日本側経営陣は組合と連携せよ 社員はしっかりせよ
最近の日本では労働組合が力を落としているが、フランスのデモは政権を倒す可能性すらあるものだ。元来、『労働者の権利は資本家と同等』である。しかし、労働者は「団結しなければ無力」だ。最近のジャーナリストも、「組合が強すぎると経営がうまくいかない」と考えている。しかし、それは「社員への配分が削減されて、企業業績が良い」ことを支持してしまっているだけだ。配分が偏れば消費力が減退し、経済が回らなくなることは明確だ。また、日本国内の上場会社の株配当は15兆円に達している。伸びが著しい。しかし、これは人間の性で、投資家は労働者に十分な配分をしようとはしない。それが行き過ぎると「革命」に至るのだ。現代は「格差」が巨大化し、【2018年度世界で生み出された富の80%を1%の投資家が占めている】とも言われている。「15兆円のうち3兆円」だけでも国内労働者に配分(給与)すれば、大規模な「景気対策」となるのだ。
日産社員、しいては日本国民の利益を守るには、最近の社会では認識が薄くなっているが、「労働組合」の力が資本に対しては最も強いことを知らしめなければならない。日本でも「反マクロンのデモ」を繰り広げるぐらいの勢いがないと、日産はルノーの配下となってしまうだろう。これは、日本の日産ディーラーにとっても死活問題だ。自動車の日本市場は極めて小さい。今後、中国市場が拡大すると、さらに日本市場の価値は低下する。日本向けの車種もお粗末で、『「売れる車種がない」のでノート「e‐POWER(イー・パワー)」が国内年間販売台数1位になった』と言われてしまう。確かに、日産にはノート以外に売れているクルマがない。ルノーが、日産を「日本の企業」との認識ではなく、ホンダのようなグローバル企業として捉えてくるのは確かであろう。しかも、少なくともマクロン政権が続く限り、フランス国内の雇用創出が優先することは間違いない。フランスの労働者と日本の労働者の戦いでもある。
「どんな手を使ってでも日産を守る」とある政府関係者が発言していたと言われるが、うわさでないことを祈ろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)