ばらまき予算でなく少子高齢化を見据えた「合葬墓」予算を

2019年1月7日 18:52

 昨年暮れのこと。河北新報の電子版で「<広まる公営合葬墓>家族変化 新たな選択肢(上・中)」と題する記事を読んだ(その後、下も読んだ)。弘前・秋田・青森の3市が行っている「合葬墓(:がっそうぼ:家族単位でなく広く共同で利用する墓)」の現状を伝える記事だ。

【こちらも】少子・高齢化時代に備える鉄道各社のあの手この手(上)

 私も今年「古希」を迎える。いわゆる「終活」を考えて不思議でない年齢。幸い、父親が購入した墓地・墓石が「かかあ天下と空っ風」で知られる北関東の県庁所在地にある。が、河北新報を読み進んだのは、「少子化」が進んだ結果、家系が途絶えないという保証はどこにもないからだ。また長男・長女はいるが離れ住んでおり私の死後、彼らが墓参りに出向いてくれるとしても金と時間を費やすまさに「ひと旅行」である。あれやそれや考えたからである。

 秋田市では昨年4月に「合葬墓」を年150体、10年分1500体を想定し第1弾を設けた。表現は適切でないかもしれないが「大人気」。9月の市議会定例会で補正予算を組み、第2弾の募集を開始。これまた申し込みに「長蛇の列」ができたという。65歳以上が申し込み資格だが、生前組が多いという。

 年賀状を書くのを中断。調べてみた。経済関連記事を40余年間書き続けてきた性だろうか。どのくらいの費用で合葬墓に入れるのか、が気になったのである。「焼骨一体1万7000円」と知った。管理は無料で市が対応してくれるという。秋田市に本籍がないのがちょっぴり、悔しかった。合葬墓に眠っていると割り切れば、我が息子・娘も生活を営む地で例えば秋田の方角に向かい手を合わしてくれれば十分と思ったからだ。

 そこまで思いが進むと「性ゆえ」としか言いようがないが、気が付いたら最近話題の「家族葬」なるものは幾ら位の値段で営めるのかを調べていた。エンディングデータバンクなる機関の集計によると、東京・神奈川・埼玉・千葉の1都3県の平均値は115万1708円。高いか安いかは人により受け止め方も違うだろうが、「道案内の看板はつけない」「会食はしない」等々で費用項目を減らせば実際には半値程度でも可能だという。

 なぜこんな記事を書いたのか。閣議決定された100兆円を超える2019年度予算案に腹が立っていたからである。「重箱の隅」論かもしれないが例えば「外相のチャーター機費用5億円」を各位はどう思われるか。税収がバブル期末期の1990年を29年ぶりに上回っているのを幸いに「ばらまき」で、プライマリーバランスなど何処かに仕舞い込んでしまった予算。「後世につけだけを残す予算」というしか言葉を知らない。せめて地方自治体が「合葬墓」推進をするための補助を予算案に組み込んでも「バチはあたらない」のではないか、と為政者に一言いいたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連記事

最新記事