「まんが王国」運営のビーグリーの強さの武器
2018年12月27日 19:31
パソコン・スマホ・タブレット端末向けに電子コミックを配信する「まんが王国」を運営するビーグリーの前身:ビービーエムエフは、現社長の吉田仁平氏により2004年10月に設立されている。現社名への変更は14年9月。進化論で知られるチャールズ・ダーウィンが世界の航海に使用した船の名前『Beagle』に由来する。吉田氏の「固定概念にとらわれる事なく、新しい発見と進捗を求め続ける」という理念を示していると捉えることができる。
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さて主軸事業の「まんが王国」だが18年9月時点で「会員数150万人超」単行本換算で累計ダウンロード数「8億冊突破」「作家・出版社との契約合計1800件超」「漫画だけで約6万タイトルの品揃え」。頭抜けた存在といえる。そのビジネスの在り様が実現した結果と捉えるべきだ。この種のビジネスでは「試し読み(無料閲覧)」を顧客拡充(引き込み)策として珍しくはない。が、ビーグリーの場合は、その冊数が違う。なんと50ページ前後の漫画が、2500タイトル用意されている。かつ「まとめて試し読み」ができる仕様になっている。その上で、月単位の定額制販売システムが執られている。月額300(タイトル)コースまでの購読料は300円+消費税。1000コースで1000円+消費税。コース数の増加に伴いポイント(1ポイント1円/クレジット払いならポイント数が+α)がつく。
といったビジネスモデルに加え、知る人ぞ知る良作人気作品の品揃えに特徴が求められる。小学館が第3位の大株主に名前を連ねているが、斯界に明るい向きは「出版社や作家とのパイプの太さがビーグリーの武器」と評する。また、会員の目を惹きつける為の施策も整備されている。サイトを訪れたユーザーの行動履歴をベースに、AIを活用した購入動機を促し追加購入を増す方策としてレコメンド作品を随所に表示している。更には50文字超の長文レビュー(批評・評論)が用意されてもいる。
まんが王国以外にも、作者の公認商品や限定特典付きの通販サイトも展開している。一口で言えば「作者」と「ファン」の中をとりもつクラウドファンディングである。
たかが、まんが。と言ったら「化石」という声が飛んでくるかもしれない。「されど、まんが」と付け加えておく。(記事:千葉明・記事一覧を見る)