日産・検査不正はカルロス・ゴーンの体質(3) 「日本企業の品質瓦解」の真の原因は?
2018年12月26日 21:22
■マネーゲームと通信分野の巨大化による戦争の危機は、核兵器が抑止力
また、通信分野で巨大な資金が動き、情報が通信分野でやり取りされることから、通信分野の覇権を握ることが世界の覇権を握るに等しいと誤解する。昔の言葉で言えば「頭でっかち」となった世界情勢の中で、覇権争いが行われている。第三次世界大戦とならない抑止力は、皮肉なことだが「核兵器」である。
【前回は】日産・検査不正はカルロス・ゴーンの体質(2) 品質保障の意味も分からなくなった体質
中国の急速な台頭で、世界はアメリカとの覇権争いとなっているが、これ自体は珍しい現象ではない。しかし、産業革命以後にあったイギリスとアメリカの覇権争いでは、かつての植民地であったアメリカが、逆転した関係であっても両国は同盟国の間だった。しかし、今回はフランスとドイツのように、中国とアメリカという対立する関係だ。戦争の危険が現実のものだが、核兵器があることと、経済的結びつきは両者にとって戦争を不利益なものとしているので、歯止めがかかっている。
■共産主義の理想は「経済の前の平等」の実現
世界は早く「資金運用」の世界から脱しなければ危険が続く。これは「マルクスの理論」だ。確かにファーウェイの社内運営は「共産主義」にふさわしく「民主的」だ。不思議に思うかもしれないが、共産主義とは、資本主義世界の「法の前の平等」から「経済の前の平等」を生み出した社会システムなのだ。つまり資本主義社会では、お金の平等は得られないのだ。そのため「格差拡大」は宿命的なシステムの欠点で、これを是正しようとしたのが共産主義なのだ。
しかしそれは「共産党」独裁であり、「官僚独裁」の国家となることを示している。言論の自由など、個人の自由は制限された世界で、それを日本社会の常識で「ファーウェイは民主的」と評価して、企業運営のベンチマークとすることは、「認識のずれが激しい」としか言えない。もともと共産主義では「経済の前の平等」が理想なのだ。つまり個人資産はないに等しく、『能力に応じて働き、必要に応じて受け取る』を理想としていたのだ。
■人間は欲望の動物であることが、「日本企業の品質瓦解」の真の原因
残念なことだが、共産主義が資産の「個人所有」を認めなかったことで、共産国家の国民は働く意欲を無くして経済的に破綻した。それを修正して、資産の個人所有を認める改革開放政策が、今日の中国経済の発展をもたらしている。つまり、資本主義経済を取り入れて「ニンジンを鼻先にぶら下げ」、「人間の本性」に寄り添って改革を進めているので、「欲望と独裁」とが結び付いた「世界制覇」の野望の危険が中国にあるのだ。ファーウェイは今のところ成功例だが、それがもたらす弊害が迫っているとアメリカは警戒している。アメリカも情報収集では同じようなことをしてきたのだが、アメリカのような権力に対する民主的牽制勢力が、社会の中でシステム化されていることが、個人情報の「人権を侵害する使い方」を抑制するのだ。それも怪しくなりつつある現在の世界情勢が、グローバル企業などの振る舞いに現れているのだ。「人間は欲望の動物」と言ってよいのだろう。
日産自動車・スバルなどに見られる「日本企業の品質瓦解」の問題も、こうした「世界的企業経営常識の負の部分」と見ておくことが正しいのであろう。運用資金が巨大化しすぎている。それは「格差拡大」の証拠であり、先進国経済が伸びなくなっている原因であり、世界経済に負の効果をもたらしていることを認識することだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)