日産・検査不正はカルロス・ゴーンの体質(1) M&A、投資効率優先の経営が原因?
2018年12月25日 06:16
■ワンマン経営者は企業体質そのものとなる
日産自動車は、また不適切な完成検査を行っていたため、15万台のリコールをかけている。また、12月19日、国土交通省は、日産自動車とスバルに対して、完成検査を確実にするための業務改善を指導した。
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組織の体質というものは、こうしたものだ。経営者が基準とする価値観が組織の体質となるのは知れたことだ。軽視するつもりがなくとも、「コストや生産ノルマ」を強く打ち出せば、部下の注意は「品質保証」から遠ざかる。後回し程度ならまだしも、不正を働いても「不正と自覚」出来なくなるほどだ。カルロス・ゴーンが部下に対して示していた、絶対の権力者としての価値観を見ると、社員は、ゴーンが示している価値観以外は認められないと忖度するのだ。
現在、カルロス・ゴーンは逮捕されて、背任罪に問われている。自身も事実関係を認め、付け替えようとした金額は戻したため損害を日産にかけていないと主張しているが、そもそも、「個人的損害を付け替える」などを考えた時点で経営者として失格だ。刑事責任とは別の次元だ。トップがこれでは、社員が検査不正を起こしても正すことなど出来ないし、第一「品質保証を正しく考えてもいなかった」のだろう。商品に対する責任を第一義に感じることもしていなかったことが分かる。これが国際標準とでもいうのであろうか?経営姿勢として論外だ。日産の株価が地に落ちて当然だ。これで株価が堅調であれば、投資家の常識もおかしいのだ。
企業の中では自由な言論はありえない。会社の方針として打ち出されることに反論すれば阻害される。そのため、ワンマン経営者が出す方針に間違いがあると、それを排除することは「革命」、あるいは「裏切り」のようになる。ワンマン経営者とは、このような結末となることが多いのだ。
■任期が短く、高額な報酬の取締役による経営で、最も悪い方策は「自社株買い」
株主が「投資効率」絶対との価値観で取締役に対すれば、その企業は自らのビジネスモデルをはみ出しても、短期的資金効率を求めて突進する。アメリカ企業で最近よくみられる「自社株買い」などが横行するのは、「株価連動報酬」があるからだ。任期が短く、高額な報酬の取締役による経営の最も悪い方策だ。世界標準を批判なく受け入れることは、慎まなければならない。一時的な小手先の方策で株価が上がっても、中期的な業績ではマイナスになることは多い。これが世界の潮流ならば、「ファーウェイの躍進」は何だと理解しているのだろうか?
次は、資金量で市場のメカニズムを誤解しない見方を考えよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)