ZOZOがファーストリテイリングに喧嘩(!?)を仕掛けた理由 (下)
2018年12月12日 20:19
ファーストリテイリング(以下、ファストリ)の主軸:ユニクロの出世作「ヒートテック」に、ZOZOが「ゾゾヒート」で真っ向勝負の喧嘩(!?)を仕掛けた。
【前回は】ZOZOがファーストリテイリングに喧嘩(!?)を仕掛けた理由 (上)
ファストリの柳井正CEOと、ZOZOの前澤友作社長の間に何があったのか。斯界に詳しいアナリストからこんな話を聞いた。
企業家倶楽部という会社がある。企業家や起業を目指すビジネスマンのためのニュースサイト(企業家倶楽部の発行)を展開している。孫正義氏や柳井氏など著名な企業家達の軌跡やリアルタイムのニュースを発信し、日本の企業家の支援を果たすというのが事業。会員制で収益を得ている。毎年「企業家賞」の選定・表彰を行っている。
今からちょうど10年前の2008年の受賞者が前澤氏だった。受賞者が決まった直後に企業倶楽部は交流会を催した。ゲストとして講演を行ったのが柳井氏だった。講演が終わるのを待ち構えるかのように挙手し質問をしたのが前澤氏だった。前澤氏はこう問いかけた。「なぜ柳井さんは数字や規模ばかり気にされるのか。自分は売上や利益云々の話よりファーストリテイリングの理念や顧客にどのような価値を提供しているのか、そういう話を柳井さんから聞きたかった」。対して柳井氏はピシャリと言い放った。「そういうことは、まず君が自分の会社の数字を作ってから言いなさい」。
前澤氏としては07年の東証マザーズ上場翌年の「受賞」である。ある意味で30余歳の若き経営者としては当然の質問だった、ともいえる。が、柳井氏の言い分も的外れとはいえない。当時(17年3月期)のスタートトゥデイ(現ZOZO)の売上高は60億6800万円、営業利益は8億2500万円。先のアナリストは「柳井さんは、上場早々に“出社は週3回でいい”とか大向こう受けすることを言う、しかも若い経営者は好まないタイプ。若い人ほど寸暇を惜しんで働くべし、というタイプ。端から相性の合わない2人だったともいえる」とするが、こんな見方もできないだろうか。今期こそ期初計画を下方修正したが前3月期は「売上高984億3200万円、営業利益326億6900万円」と、柳井氏の指摘通り収益を「数字を作ってきた」前澤氏のキツイ恩返し。
暖冬の今年。「ヒートテック」対「ゾゾヒート」の戦いは、どちらに軍配が上がるのか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)