車はエンジンだけで出来てはいない(3) 「衣・食・住」は製造物が支える
2018年11月28日 15:06
自動車メーカーは、エンジン開発生産能力があるからだけで優位なのではない。現在、世界の製造業は、トヨタが先行した「多種少量生産」、マツダが取り組んできた「順序生産」「スイング生産」などの先進的生産方式開発があってこそ、利益が保てるのだ。
【前回は】車はエンジンだけで出来てはいない(2) 【EVは他業種からの参入は易しい】は間違い
GMが事実上倒産したとき、この「生産方式」による「混流生産」も出来ていないことが、あまり問題とならなかった。これが、現在の「投資家」の見方の限界なのだ。あれほどブームに沸いた投資家は、テスラが「製造工程」を甘く見てひどい目に遭っていることを、どのように評価しているのであろうか。経済、金融、コンピュータ知識では、製造は構築できないのだ。さらには、「人間性」を無視して製造を捉えても成り立たないことを、テスラのイーロンマスク氏の言動は示している。
基本的に、「経済、金融知識」は、そのシステムそのものが「衣・食・住」に役立つ物質を生産する「製造の補助的システムである」ことを理解しなければならない。しかし、資金の運用だけで「配当・金利」と言った利益を生み出す資本主義という経済システムがあり、労働者が奴隷のように資本家に従う情勢がある限り、資金は資本家、それも一部の資本家に集中してしまう。
現在、日本経済が低迷しているのは、世界がトヨタ生産方式を取り入れて製造業を発展させたため、日本企業の絶対的優位性を保つことが出来ないのが、大きな一因であることを経済専門家は学ぶべきだ。
「世界のGDPの4~6倍の投資資金」が動き回る中で、資金がだぶつくほど世界の富の格差が広がり、「ファンドマネーが利益を生む源泉」と捉えると、「製造」は視野から消えてしまっているのだろう。人間の営みは「衣・食・住」どれをとっても生産物であり、全ての最終目標であるのだ。【たった8人が全人類資産の半分を所有する】などは、弁護の余地のないほどの経済システムの誤りだ。先進国のGDPが伸びないのは、労働者に配分されない資金、つまり資本家に対する配当が多すぎて、労働者、つまり消費者に資金が還元されず、経済規模を押し下げてしまうメカニズムが働くからだ。
さらに、インド、アフリカなどの発展途上国がなくなってくると、世界経済は拡大出来ず「配当金・金利」、つまり【資本家のピンハネ】に耐えられず、停滞から破綻してしまう。このままで済むわけもなく、「戦争の足音」が聞こえてくる。
日本経済においても、上場会社の配当金だけで13兆円と言われている。上場していない企業の配当金を加えると20兆円を超える規模となっているのかもしれない。この資金の半分でも「給与」の形で労働者に還元されていたら、日本経済の低迷は一気に解消することは明らかだ。
あらゆる分野の学者は人類の歴史を点検し、経済学者は早急に、経済理論を正すのが人類に対する義務だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)