トヨタの決算 米中貿易戦争さなかに、北米利益率向上 中国増産に挑む
2018年11月8日 11:15
トヨタ自動車は6日、2019年3月期第2四半期(2018年4月~9月期)の決算内容を発表した。
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■【2019年3月期 第2四半期】の実績
売上高は14兆6740億円【前年同期比4827億円(3.4%)増】、営業利益は1兆2618億円【同1653億円(15.1%)増】、当期純利益は1兆2423億円【同1710億円(16.0%)増】となった。売上高は、過去の期間最高となっている。また、販売台数は連結で441万9000台【同3万台増】となり、好成績となっている。
■【2019年3月期の通期】見通し
通期の見通しは、売上高は29兆5000億円【期初予測比5000億円増】、営業利益は2兆4000億円【同1000億円増】、当期純利益は2兆3000億円【同1800億円増】、といずれも上方修正。この売上高の通期見通しは、歴代最高となった【前期比1800億円増】。販売台数は890万台(連結)と据え置きしている。
■好調な通期見通しの要因
好調な世界販売がけん引していることは確かであろう。販売台数は増えないが、売上高・純利益ともに上方修正しているのは、SUVなど利益率の高い車種の売り上げが伸びていることが考えられる。
4~9月期の世界販売は、ダイハツ工業などを含めた連結で約530万台となっており、世界販売台数で通期1000万台を突破していく見通しだ。米国市場は利益率が思わしくなかったが、事業環境は底入れに向かっていると思われる。また中国市場では、関税の引き下げ効果があり、高級ブランド「レクサス」が好調な売れ行きを見せ、今後の期待が持てる状況だ。
■コスト削減が進んでいる
トヨタが掲げるTNGA(Toyota New Global Architecture)が進んでおり、一段のコスト削減効果が出てきているとみられる。この動きは、決算では利益率の高さとしてしか現れず、北米で増えていた「インセンティブ(販売奨励金)」、為替レートなどの要因が絡むため、実績として直接的に表れることはまずない。しかし、利益率8%を見込むトヨタとしては死活的動きだ。
TNGAの実績としては、再びリーマンショックなどのような外的要因で減産に追い込まれたときの利益率のダウン幅で示されるものと言える。今後、米中貿易関係の動き、NAFTAの影響などによるサプライヤーチェーンの変化などが表面化するときが正念場だ。発表される決算数字を、そこまで「読める」ジャーナリストも少ないと言える。
■販売戦略にボランティアの活躍
トヨタのニュースとは直接関係はないが、マツダがあれほどコストダウンに努力しているのに利益率3%を維持することもおぼつかず、対してスバルが9%の利益率を誇る理由(米スバリストのボランティア活動に注目)を理解しておくと、「営業政策」と「生産方式」との連動が見えてくるはずだ。マツダ、トヨタ、日産など、いや別業種の例えばゴルフ場などにも、スバルの北米での販売方針を研究してほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)