惑星状星雲の中心に連星系を発見 公転周期はわずか3時間強 スペインでの研究

2018年11月4日 10:51

 スペインの天文学チームが、惑星状星雲「M3-1」の中心に公転周期がわずか3時間強の連星系を発見した。この2つの星は非常に大きくまたぶつかりそうなほど接近しているため、数千年のうちに超新星爆発を起こす可能性があるという。

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 今回この発見をしたのはスペイン・カナリア天体物理研究所のデビッド・ジョーンズ氏とラ・ラグーナ大学の研究チーム。彼らはヨーロッパ南天文台(チリ)の望遠鏡を使いM-3-1を数年間観察したが、その過程で星雲の中心に連星系があることを発見した。連星はあまりに接近しすぎているため区別するには至っていないが、片方の星がもう一方の星の前を通過する際に明るさを遮るため、その明るさの急激な変化から連星であることがわかったという。「2つの星があまりに大きく、またとても近くにあったにも関わらずほとんど触れていなかったことには驚きました」とニコラス・コペルニクス天文学センターのポリーナ・ソウリカ教授は語る。

 さらなる観測から、この連星は白色矮星(恒星の終末期で高密度)と低質量の主系列星であることも確認された。この星の組み合わせは一方の星からもう片方へ物質の流れ込みが行われた結果「新星爆発」に至る可能性が高く、また流れ込んだ物質が臨界質量に達すると「熱核爆発」を起こし連星系の輝きは一瞬にして最大100万倍にも上昇するそうだ。ただ現在知られている理論によるれば、惑星状星雲が形成された後連星は分離する、と説明されている。つまり二つの星はこれから徐々に離れて行くと言われているのだ。連星のこの先を知るには観測を続けるほかないのだろうか。

 これについては2007年、別の星雲状惑星の中で新星が発生するという事態が起こった。これは前述の理論からは説明に難く、M3-1でもやはり近い将来同じような新星爆発が起こるのではないかという推測を後押しするもののようにも思える。

 研究チームは超新星の物理的なプロセスやその起源をより理解するため、今後もこれらの天体の観測を続けていく予定だ。(記事:秦・記事一覧を見る

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