トヨタ「KINTO」を展開 「ポルシェパスポート」と同じ乗り換え自由 “愛車”は死語になる?
2018年11月3日 16:37
トヨタ自動車が、“サブスクリプション型サービス”「KINTO」を開始すると発表した。「KINTO」は、アメリカでは広がりを見せるサービスで、「税金・保険・車両整備」などをパッケージ化した月額定額サービス。2019年めどに開始するとしている。
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これまで、BMW、ベンツ、ポルシェ、GMなどが次々に参入を決めてきた。自動車を所有するのではなく、乗る、使うとの発想に替わってきた現れであるのと、いろいろな車を乗り継いでみたい人にとって便利なものだ。日本では、このようなサブスクリプション型サービスの展開は限られていて、例としては中古車販売「ガリバー」を展開するIDOMの「NOREL」というサービスがある。これは、「保険や税金込み」で最短90日の制限はあるが乗り換えは自由で、サブスクリプション型と言えるだろう。
ポルシェも「ポルシェパスポート」として、アメリカ・ジョージア州のアトランタでサブスクリプション型サービスを展開し始めているのだが、「ポルシェ使い」と言われたポルシェ・911のオーナーが聞いたらどのように感じるのだろうか。
車はそのコンディションを保つため、運転するだけで、ある程度のメカニズムの知識と、整備の能力が必要なものだった。現在のように電子制御が進んでくるまでは、エンジンは気難しく、プラグやディストリビューター、キャブレター程度の調整は自分で整備出来ることが必要だった。ポルシェ911のオーナーになるには、ブレーキパッドの調整などもできなければならないとされていて、ある程度の設備技術もオーナーには必要だったのだ。
それが、「月額定額制」で乗り換え自由のシステムとなると、“自分のクルマ”との認識はいらないこととなる。ファッションと同じように、気分で着替えるような存在となってきた。“愛車”のコンディションを気遣いながら、ワインディングを飛ばして共に出かけるイメージではないようだ。自動車の品質が上がって、その個体の調子が違うなどということもなくなり、「自分で整備」の必要性はなくなると同時に、愛車との認識もなくなっていくようだ。
「ポルシェ使い」と呼ばれたポルシェユーザーの誇りは、今は単に「ブランド所有」の優越感となってしまったのだろう。ポルシェ911はRRであり、どれほど高性能化が進んでも、オーバーステアをコントロールする「使い手」にならなければ速く走れず、みっともないことだった。しかし今は、山口百恵の歌にあった「赤いポルシェに乗る」意識だけで良いのであろう。でも、ポルシェを「ファッション」と捉えるのはいささかもったいない気持ちがするのは、「爺さんの回顧趣味」なのだろう。
「ポルシェパスポートに入って、人生最後の“暴走族”をやってやろうか」とチラッとつぶやくと、「免許返上して!」と女房に言われた。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)