認知症患者と家族のための保険発売 東京海上
2018年10月1日 11:42
政府の統計によると、2012年には462万人だった認知症患者は25年には700万人規模(高齢者の5人に1人)になるという。また警察庁の統計では認知症による行方不明者は12年から4年連続で過去最多を更新しているという。こうした流れに対し厚労省では「認知症施策推進総合戦略」を策定、企業に対しても「認知症サポーター養成講座」の開設を促している。
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そうした中、9月25日に東京海上ホールディングスが「東京海上グループの社員の認知症サポーターが5000名に達した」と発表した。11年度から約170回の養成講座を展開した結果だという。認知症サポーターは「資格」ではないし、関連保険の販売を手掛けるというわけでもない。が、同社が一般社団法人:セーフティーネットリンケージ(SNL)と連携し、認知症患者用保険の開発を進めていることは知られていた。
現に「認知症サポーター5000人」を発表する3カ月前に、「業界初となる認知症の方およびご家族のための専用保険」を謳い文句に「10月から:認知症安心プランを発売する」と明らかにした。前記を改めて知らされると「認知症」を患っても不思議でない年齢のいま、やはり商品内容が気になる。取材した。こんな商品であることを知った。
★保険の対象者:40歳以上の認知症患者(医師から認知症と診断された人、あるいは認知機能・記憶機能の持続的低下により家に帰れなくなることがある等の状態がみられる人)およびその家族。
★補償内容:
(1) 認知症の人が行方不明になり24時間を経ても発見されない場合、認知症者の親族が捜索の費用(遠方で発見された時の送迎タクシー代・介護事業者に捜査依頼をした際の人件費・探偵への捜査依頼費用等)を負担した場合「1事故30万円」「保険期間を通じて100万円上限」に保険金が支払われる。
(2) 認知症者や家族が日常生活で他人にケガをさせたり他人の財物を壊したり、あるいは線路に立ち入り電車の運行を不能にさせてしまったようなケースでは1事故につき国内外1億円を限度に保険金が支払われる。
(3) 認知症者が日常生活に起因する偶然な事故で他人にケガをさせ、ケガをした人が事故の結果とし死亡した時には賠償責任の有無を問わず見舞い費用保険金(15万円)が支払われる。
(4) 認知症患者が交通事故等でケガをした場合は50万円、後遺症が生じた場合は程度に応じ2-50万円が支払われる。
(5) 付帯サービスとして認知症者が行方不明の場合に速やかな発見・保護を支援するため、高齢者見守り支援で実績を持つSNLの協力をえて作成された「緊急連絡ステッカー」が提供される。
保険料は月額1300円。長生きには諸々のリスクが伴うことも事実。備えるべきだと痛感した。(記事:千葉明・記事一覧を見る)