セブン&アイHDの株価がアナリスト予想を大きく下回っている訳
2018年9月24日 08:53
セブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイHD)は同社を担当するアナリスト達が想定する予想平均株価(IFIS目標平均株価)5469円に対し時価は400円近く安値にある。一度は4275円(3月2日)から6月11日の5067円の過程で、「5000円台に居所を移す」期待を持たせた。が、再度4000円台に戻ってしまった。
【こちらも】セブン&アイ、ネット通販開始の裏
セブンイレブンを軸にしたセブン&アイHDの収益は、順調。前2月期の「3.5%増収、7.4%営業増益、87.2%最終増益」に続き今期も「10.7%の増収(6兆6830億円)、6.0%の営業増益(4150億円)、15.9%の最終増益(2100億円)、5円増配95円配」と堅調な計画で立ち上がった。そして第1四半期も前年同期比「8.9%増収、2.7%営業増益、27.5%最終増益」と上々の立ち上がりとなった。
だが第1四半期の内実を深く読み込んでいくと、セブン&アイHDが置かれている「今」が検証できIFIS目標平均株価未達も理解できる。「今」とはこんな具合だ。
★売上高: 国内コンビニ: 2.5%増収、海外コンビニ: 32.5%増収、スーパーストア(イトーヨーカ堂): 横這い、百貨店(そごう・西武百貨店): 12.9%減収。
★営業損益: それぞれ6.9%減益、33.2%増益、17.9%増益、8.6%減益。
百貨店事業は「構造改革」という名の不採算店の閉鎖策で減収減益幅が縮小した。スーパー事業は販管費圧縮やテナント誘致が奏功し黒字転換を果たした。が、アナリストは「2部門については今後のセブン&アイHDにとって、足を引っ張らなければよい存在」と口を揃える。要はコンビニ部門の動向だ。だが国内に関しては前期末で店舗数は2万437店に及んでおり新規開店は容易ではない。他の大手コンビニとの客引き合戦も「それぞれが一歩も引かない綱引き状態で、消耗戦の感が強い」(アナリスト)。セブン&アイHDは昨年9月抜きん出んがためにタブーだった策にでた。加盟店のからの「経営指導料」を1%引き下げたのだ。しかし第1四半期時点では「38億円の利益押し下げ要因」となっており、「吉か凶」は予断を許さない状況にある。
となると今後のセブン&アイHDを占うポイントは、海外コンビニの拡大策に絞られてくる。積極的だ。米国の拠点:7-イレブン・インクを軸にセブン-イレブンハワイ傘下の63店舗を含め、全米に8770店舗を擁し2兆7380億円強の売り上げを計上している。「積極的」としたのは、昨年9月米サノコルLP社からガソリンスタンド付きコンビニ1030店舗を3452億円で傘下に収めた点に象徴的(寄与は今期以降)。
海外では17カ国で6万6570店を展開しているが、未だ「点を打った」程度の国が多い。例えば「ベトナム17店」「アラブ首長国連邦14店」等だ。そうした国々で「点から面」の動きが明らかになることを、IFIS目標平均株価は待っていると捉えられる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)