「死者のホテル」が増える理由
2018年8月17日 18:13
昨年1年間に死亡した人は134万人。2000年には100万人に満たなかった。そして「40年には167万人に達する」という推計がある。死去・病院等での短時間の安置・火葬と、時間を置かず取り仕切られて行けば「死者のホテル」の需要は限られ増加という状況は起こらない。
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が、現実は異なる。細かい話だが「火葬場」と「斎場」は違う。前者は「焼き場」であり後者は、お通夜や告別式を行う葬儀場。問題は「火葬」に至るまでの時間である。東京23区内では3日から10日待たされるのが現実とされる。何故か。一口で言えば「火葬場不足」である。23区内には現在、自治体が運営する「公営火葬場」が2カ所と民営火葬場7カ所しかない。現状で3-10日待ちがより長くなる懸念が強い。新たな火葬場建設に関しては「地域住民の反対論」が依然として、大きな壁になっている。
こうした事情に加え、「家庭葬」「親族葬」といった葬儀の在り方の変化が「死者のホテル」増加の背景になっている。一例を引く。
新横浜駅から徒歩5分のオフィス街に地下1階・地上9階建ての「ラステル新横浜」がある。ちなみにラステルとは「ラスト(最後)のホテル」の造語。火葬時間までの死者の安置場であり、「家族(親族)葬」の会場を兼ねたビル。各階はこんな具合である。
地下1階:ロビー&100名まで可能な家族・親族葬用ホール。1階:火葬場に向かう前の最後のお別れ室。2階:通夜や精進落とし用のバンケットルーム。3階&4階:家族・親族葬用式場。5階:来場者の控えロビー。6階:安置された死者との面会室。7階:個別面会室&湯潅室。8階:仏壇などのギャラリー。9階:セミナールーム。
火葬までの時間を葬儀社の安置場で保全する場合の料金に比べて廉価。安置と葬儀は別というわけにはいかない。対して家族・親族葬を選択する場合死者が安置されたビル内で湯潅や通夜・精進落としの機会も得られる。時代に即したビジネスといえる。かつ「仏壇等ギャラリー」フロアも備えられた当たりに「死人商売」も感じる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)