GPSカーナビのパイオニア(1) 2018年第1四半期営業赤字 企業存続には借り換え前提
2018年8月10日 08:12
オーディオのパイオニア、最近ではカーナビのパイオニアが危機にある。コンポーネントステレオではいち早く小型化し、「Private」と銘打って、一人の部屋に置けるサイズにして大ヒットした。現在で言えば、スマホで音楽を聴ける感覚だ。しかし、ステレオの分野では韓国企業、中国企業と価格で競合できず苦戦した。プラズマテレビでも後れを取り撤退、それでも「レーザーディスク技術」が救った。レーザーカラオケボックスだ。
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その後、カーステレオに続き、GPSカーナビで自動車業界に深く進出していた。パイオニアのGPSカーナビは30年ほど前から使ってきたが、ゼンリンの地図を使わず独自のカーナビ用地図を展開してきた。しかし、家電市場において、韓国、中国企業に占有されるに従って苦戦が続き、アメリカ進出も考えていたのだが、アメリカではGPSカーナビを使う習慣がなく、あまり広がりを見せなかった。
一方で、パイオニアは主力製品として、プラズマディスプレイを開発していた。パイオニアはブラウン管時代からテレビを手掛けていたのだが火災事故を起こし、マンションの一室が焼け落ちるほどになってしまい、かなりのイメージダウンを受けていた。パイオニア内部の事情を聴くと、火災を起こしたことを隠すため、各報道機関に現金を持って担当者が巡っていたとのことだった。確かに、1度は社名がテレビニュースで流れたが、その後は、メーカー名は伏せられるようになったのを確認できた。
主力製品の選定に苦しむ様子は、日本のどの家電メーカーも同じであったことだろう。パイオニアは、最近GPSカーナビに集中してしのいできたようだが、ここにきて特別損失を計上して営業損益は15億円の赤字なのに、純損益は66億円の赤字となった。18年度通期、19年3月期50億円の営業赤字決算を見込んでおり、再生のストーリーが見えなくなっている。
66憶円の損失を計上しているが、訴訟費用、罰金などの特別損失のため、回復する可能性がないわけではない。しかし、問題はキャッシュフローが続かなくなる危険が出てきた。それは銀行借り入れを返済しながらであるため、返済分を稼ぎ出せない状態では、返済分と赤字分の借り入れがなければ、倒産ということになる。当面の問題としては、9月下旬に返済期限を迎える133億円の手当だ。銀行がここで倒産させるとは思えないが、再生ストーリー、もしくは「店じまいストーリー」を要求しているはずだ。パイオニアの現在の経営陣に、自主的に計画立案が出来るだろうか?
次は、「身売り」なのかパイオニア再生の動きを見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)