JエレベターサービスHDが絶好調な訳
2018年7月30日 11:54
ジャパンエレベーターサービスホールディングス(以下、Jエレベーター)の株価が年初来高値水準に移行し強張った動きを呈している。信用取引の貸借倍率0・0。踏み上げ相場の感を呈している。
【こちらも】大塚ホールディングスはビッグベンチャーカンパニー
Jエレベーターの中軸事業は、エレベーター・エスカレーターの「保守・保全」と「リニューアル」事業。どこのエレベーターメーカーとも組みしない独立系では国内首位。独立系首位の背景は以下の3点に収斂される。
(1) 大手主要エレベーターメーカーの各種類についての保守・保全が可能。
(2) メンテナンス費用は主要メーカー系と比べ、最大50%コストダウンが可能。
つまり製造コストに見合った費用に縛られることがないため。20%から50%割安を実現している。
(3) 用途別リニューアルが可能。リニューアルと一口に言っても幅広い。が同社の場合例えば、「バリアフリー」の向上に特化したリニューアルだけでも可能といった具合。必要な技術者の積極的採用が背景となっている。
エレベーターの安全性はもとより、「乗り心地」はビルそのものの評価にもつながる。斯界に詳しいアナリストは「Jエレベーターは中堅・中小資本のビルに的を絞った営業活動が功を奏している」とする。
また柔軟な発想で、「新」エレベーターに衣替えしてしまうような研究・開発が進んでいる。例えば今期下期からは「分割リニューアル」なる「工期・費用の縮小」サービスの提供を始めている。現在主流の「一括リニューアル」は、主流の制御盤と巻上機を一緒に交換するが、下期投入の分割リニューアルなら「巻上機のモーターを調整しながら制御盤だけを交換」することが可能になる。
更にアナリストからは「エレベーターをメディア化して一儲けを模索している」という声も聞かれる。エレベーター内に防犯カメラを内蔵したサイネージスクリーン(超短焦点にも対応する高輝度・高精細なスクリーンフィルム)「リット・スポット」を無料で設置し、動画広告を配信する企業からの広告料収入も狙おうというのである。
収益動向は前期が「13.2%増収、121.2%営業増益、211.8%最終増益」。保守・点検台数着実増に加え、リニューアル事業が28%と急増。今期は「9.6%の増収(168億円)、18.3%の営業増益(16億円)、8.5%の最終増益(9億2,000万円)」と着実な計画で立ち上がった。アナリストからは「メディア事業は様子見だが、新リニュール事業の評価が高く拡大の公算大」と、計画比「上振れ」の見方が早々に示されてもいる。(記事:千葉明・記事一覧を見る)