宅弁WAR サントリー食品に立ち向かう600(株)

2018年7月23日 08:11

 サントリー食品インターナショナル(以下、サントリー)は7月5日に、「自販機」を介したランチ難民事業を展開すると発表した。名づけて「宅弁(たくべん)」。これも「働き方改革」がもたらしている現象だろうか。「残業減⇔昼食時も割いて仕事」という現実が表面化している。サントリーは、そこに着目した。

【こちらも】ぐるなびとサントリー、職場の自販機から弁当を注文できるサービス開始

 自販機の一角に日替わりメニューの弁当(1食700円)欄を設けた「新自販機」を開発。既に高層階にオフィスがある12社で17台の設置が決まったというが、枠組みは「朝10時までに料金を入れボタンを押しておけば、正午までに近くの飲食店から職場の所定場所に弁当が届く」というもの。

 民間の調査機関:飲料総研によると「自販機設置台数/売上高は減少傾向にある」という。サントリーの狙いが「ランチ難民救済」を旗印に自販機の減少に歯止めをかけ、自販機の売り上げを盛り返す契機としたいことは明らか。

 だが言葉を選ばずに言えば「ランチ難民事業」はいま、俄かに注目度を高めている。東京・渋谷区に600(株)という企業がある。この会社が始めたビジネスが「無人コンビニエンスストアサービス600」。一見、自販機。しかし、そこには文字通りコンビニ並みの600点の商品が用意されている。弁当や食べ物が豊富に並ぶ。購入の決済はクレジットカードでOK。2017年に創業。今年、実証実験を開始した。

 この無人コンビニは600(株)の創業者自身の「ランチ難民」体験を契機として生み出されたもの。創業者社長自身、かつては高層ビルの上層階で働いていた。「1階にコンビニがあったが、辿り着いて弁当などを買うまでが大変。エレベーターを待つ時間や人込みをかき分けて食べ物を手にする時間、そして長蛇の列のコンビニカウンターでの決済時間等々を勘案すると弁当を食べるのはまさに“呑み込む”状態。そんな日々を重ねるうちにビルの共用部分にコンビニが有ったら便利だろうな、と真剣に考えるようになった。それが無人コンビニの原点だった」とした。

 面白がってはならない。ランチ難民救済事業の行方を見守ってみたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

関連記事

最新記事