中国・自動運転シティー開発(1) ICV「インフラ協調型」自動運転車開発の最前線

2018年7月20日 11:51

 中国では、急速に自動運転車の開発が進んでいるようだ。中国IT企業の百度(バイドゥ)は、自動運転バスを量産し、日本にも輸出する計画を発表した(すでに一部開始されている)。ソフトバンクのグループ企業と提携し、実証実験を年度内にも始める計画だ。

【こちらも】中国・百度とソフトバンク、自動運転バスを日本で展開へ

 しかし、インフラ整備だけでなく、全ての事柄で安全の確保が最優先であり、そのため「品質保証が経営の最重要課題であり続ける」のだが、中国企業の「品質保証」また「安全性」について、素直に受け入れることを拒む感情が走る。「文化の差」と片付けられない共産党一党独裁であり、「個人の人権」意識の低さが食料品などでも「品質保証」問題を幾度となく繰り返してきた現実がある。また、テスラのイーロン・マスク氏のように、社員の人間性を無視したかのような人物が作るシステムが、正当なものと素直には信じがたい。

 こうした「人間性の希薄さ」の中で急速に進む自動運転車の開発について、世界的視野で「大きなハードルを3つに分けて」考えてみたい。

■AI自動運転車の2つの方式? 中国は「インフラ協調型」

 自動運転車について、中国は「ICV(インテリジェント・コネクテッド・ビークル)」と見ているようだ。グーグルなどが進めてきた自動運転車は「自律型」だ。これはクルマに取り付けたカメラやセンサーを中心に、現在人間が行っている信号や標識などの情報収集・分析する機能を、AIで行おうとするものだ。それに対して、交通システムから提供される詳細な交通情報網を地域全体に広げ、その情報をもっと利用し、AIの分析・判断能力を上げようとするものが「インフラ協調型」だ。中国はこれを目指している。

 どちらも2つの方法を同時に取り扱うことになるであろうが、中国方式「インフラ協調型」は、新規に都市全体を開発する部分が大きく、共産党独裁国家により土地買収など計画を進めやすいメリットが強く感じられる。一方、日本など先進国は交通インフラなど都市整備がほぼ完了しており、街全体を作り替えるのは再開発の規模になり、新たに土地買収などの必要性が大きくなるのでより難しい。なので、車自身でほとんどの情報収集・判断ができる「自律型」の方が、実現性が高いだろう。あえて2つの方式に分ける必要もなく、地域を出てからも不便のないようにするには「自律型」である必要があり、地域を限って、より安全にするには「インフラ協調型」で情報量が多いほうが良い。しかし世界で開発が進むと、両者は区別がつかなくなると予測する。

 つまり中国が「自動運転シティー」とするのは、周辺の関連性(例えば法整備)などに目をつむり、技術開発を急ぎ主導権を握ろうとする「人権軽視」の考え方が根底に感じられる。「自律型」「インフラ協調型」に分けることは、あまり意味はない。むしろ、自動運転開発全体に渡る問題点は「実用化」と「想定外」だ。

 次は、「自動運転車開発3つのハードル」の【第1ハードル】AI自動運転技術について見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連記事

最新記事