少子・高齢化時代に備える鉄道各社のあの手この手(下)
2018年7月18日 17:50
鉄道各社にとり今後を展望する時に、沿線に保有する不動産の有効活用がポイントとなる。一つの手段として「高齢化時代」に対応するための「介護関連施設」の展開がある。
【前回は】少子・高齢化時代に備える鉄道各社のあの手この手(上)
2012年8月に子会社を介して介護付き有料老人ホームの運営を開始、その後もいわゆるサ高住・介護付き有料老人ホームを展開している京王電鉄では開始に際し「少子高齢化が進む中でも住んでもらえる・選んでもらえる沿線を目指し、高齢者世代が生き生きと暮らせる街づくりに積極的に取り組んでいく」としたが、その方向性は各社同様であろう。
03年に一早く「サンカルナ」ブランドの介護付き有料老人ホームに進出した西日本鉄道はその後も、介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム・サ高住を展開している。そしてさらには分譲マンション事業で培った技術力を基に、シニア向けマンションにも進出。シニアマンション注力の背景には「沿線を中心に、医療機関やショッピング施設など自立高齢者のニーズを満たすような最適地づくりを前提に積極的に取り組んでいく」という絵図が描かれている。また同社では車椅子・特殊寝台・床擦れ防止用具・体位変換機などの福祉用具レンタルや、居宅の介護リフォーム事業も手掛けている。
阪神電鉄が「デイサービス施設」の展開を開始したのは13年10月。半年に1カ所ペースで開設が進んでいる。そして各施設とも特色は「リハビリ型」。リハビリ機器も「ドイツに国際的に厳しい基準と評価されているTUV/ZAT(認証規格)があるが、国内では初めてTUV規格を取得した機器を使用している。沿線の高齢者に直接かかわれる介護施設はデイサービスという認識で、今後とも積極的に進めていく」としている。デイサービスでは、介護付き有料老人ホームやサ高住の展開を行う一方で東急電鉄が「オハナ」ブランドで12年以降に積極化を図っている。「要支援・要介護の方や軽度の認知症の方も受け入れている。身体機能回復プログラムを複数用意し、選択は通所者」という。
沿線住人の高齢化に対し、保有不動産の活用が進められている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)