松下商法、ここにあり パナソニックが民泊参入
2018年7月11日 20:50
パナソニックのビジネス展開に関する報道はこの間「車載電池に全力投入」「超小型EV用電池にも参入」といった具合に、バッテリー関連に集中していた。
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そんなパナソが新法施行に合わせ、「民泊」に進出するという。正確にはホテル業法で定められた「簡易宿舎」の建設から運営・管理まで一貫して手掛けるというのである。簡易宿舎は「自治体の認可」「コスト」は伴うが他のホテル・旅館事業に比べると、言葉を選ばずにいえば「容易」。今年度中に、まず東京・大阪で10棟程度を建設する。その具体的な巧みな事業の枠組みを知り、天国から松下幸之助翁の「えいやないか、やりなされ。松下流商売の本髄をみせてやりなされ」という声が聞こえた風に思えた。枠組みとはこんな具合だ。
★土地はグループの不動産企業が、所有者から原則30年借り受ける。契約に際して運用開始から10年後には、賃貸物件に切り替えられるようにしておく。万が一の備えというか、東京五輪後の外国人訪日客減への準備も怠りない。
★建設はパナソニックホームズ(元パナホーム)が手掛ける。連結収益上の売上・利益をしっかりと確保する。
★実際の運営は民泊運営を手掛ける「百戦錬磨」「スクイーズ」に転貸方式で委託する。当然、委託手数料が入る。パナソは「監督役」。詳細の転貸委託契約の中味は明らかにされていないが、実績に応じ監督が「選手交代」を告げることも考えられる。じつはパナソは介護施設などで約100件の転貸運用実績を有している。
★想定されている簡易宿舎(民泊)は1部屋40平方メートル程度で、4-5人の利用が可能。宿泊料は1人当たり1泊5000円ほど。パナソは土地保有者から建設費のほかに宿泊料金の約1割を受け取る。この当たりも、抜かりなし。
そして何故パナソが民泊事業進出を決めた理由が「民泊そのものの需要」もさることながら、事情通に共通した見方は「自社製品の国際的PR」。施設内は家電・浴室にはじまり設置される住設機器は全てパナソ製。美容家電なども備え、訴求にこれ務めるというのである。
松下商法ここにあり、といって決して過言ではないと思う。幸之助翁は「儲けてなんぼや」といっているに違いない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)