【スバル記者会見(5)】この問題に専念は疑問、「ウミを出す」には現経営陣排除が必要

2018年7月11日 11:26

【ポイント5】:吉永社長の勇退とこの問題に専念

 自動車メディアの記者がこれほど品質保証に「素人」であると、事の重大性を認識できまい。ある記者が、スバル・吉永社長(現・会長)個人に説教していた。「その通り」と賛同したいのだが、この個人攻撃は真実であったとしても「名誉棄損」になる危険がある。メディアとしては慎むべきだ。他の記者のように、質問の形態を変えるべきだった。

【前回は】【スバル記者会見(4)】 メディア記者の稚拙な技術的知識と吉永体制の限界

 例えば、「組織のコミュニケーションについての具体策はどのように考えているのか?」などだ。もっと突っ込んで「取締役や執行役員とのコミュニケーションの具体策は?」。さらには、「作業員とコミュニケーションを、事件発覚後、特別に取っているのか?」などだ。すると、吉永体制でのコミュニケーションについての欠陥が浮き出てくる可能性があり、それを「どのように解釈する」のかは読者の自主的判断である。それが言論の自由であるはずだ。メディアが決めてしまうのは「リンチ」になる危険がある。1つの解釈であると紹介することは、支障はないであろうが、決めつけることは慎みたい。

 しかし、他の記者からの質問は厳しさが足りなかったが、この記者の質問は、吉永社長に厳しく利いたことだろう。なぜなら吉永社長の姿勢は、あくまでも「現場が勝手にやった」としているからだ。しかし現場がやったことは、「社長の経営姿勢がなせる業」と知ることだ。「ウミを出し切る」と言及しているが、本当の「膿」は吉永体制そのものの可能性が高い。調査さえまともにできない状態が続いているからだ。社内のガバナンスについても「勘違い」「心得違い」が目立つ。吉永体制を一掃しなければ、社内のコミュニケーションは回復しないと考えるのが妥当であろう。

 それは、もはやスバル車全体が、さらに言えば、製造部門以外も含め企業の品質保証体制全体が信頼を失っていくことにつながる。ディーラーの営業の現場を見ても、「まともな体制」とは感じられない。営業マン、整備窓口など接客の現場には、「吉永体制の高慢さ」が浮き出ている。北米が好調の間に、スバルの体質を「顧客本位」に改めることだ。

 また、これは情報が不足しているので言い切れることではないが、スバルは「アイサイトの自主開発」をやめ、サプライヤーに任せる意向があると聞く。これは開発資金回収からの判断であろうが、技術者が精魂込めて開発し、業界をリードしてきた自慢の技術であるので、社員のモチベーションが変化する原因となるだろう。こうした自分のビジネスモデルを捉えていない体質、つまり「マネーゲーム」の方向性の戦略性のなさを見ると、金融知識からだけの「経営の体質」が根本の原因である可能性が高いと見える。品質保証は、金融感覚ではできる仕事ではない。

 別記事に記したが、スバル・新型フォレスターは良い出来のように感じる。これを「量産体制で品質管理を成功させ」、長年のスバリストとしても、「戦略性」を持った「経営計画」を立案することを願っている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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