【スバル記者会見(1)】深刻な闇 「社内調査チームが弁護士中心であった」ことが間違い

2018年7月9日 17:47

 6月5日、スバルが記者会見を行った。

【こちらも】スバル国交省への報告書(1) 法的立場の言い訳 根底は「品質低下は気にしない」?

・スバル出席者(役職はいずれも会見時): 吉永泰之代表取締役社長、加藤洋一取締専務執行役員、大崎篤業務執行役員・品質保証本部長、岡田貴浩広報部長(進行係)

・会見事案: スバル・群馬製作所において、完成検査の検査時検査方法に不良が出ていたが、有効なデータとして取り扱っていた。データが残っていた2012年12月から6530件の検査データの内、927件が無効データであった。

 完成車両の「抜き取り検査」を実施、その際(1)JC08モードの速度規定値を逸脱して測定したため無効にして再検査をしなければならないデータを「有効」とした。(2)検査室は「湿度・温度」管理で「湿度は30%~70%内」と規定されているが、これを逸脱したデータを有効としていた。

■社員は社内調査でなく国交省の調査で告白

 「なぜ社内調査ではなく、国交省の調査に社員は応えたのか?」ポイントはここに集約されている。

【ポイント1】:「社内調査チームが弁護士中心であった」ことが間違い。

 スバルの現経営陣が実態を把握するにあたり、弁護士の調査チームに依頼した認識が問題外だ。社内に品質保証本部がありながら実態調査ができないなど、スバルの組織・組織運用はどうなっているのかとあきれるばかりだ。結論を言えば、スバルは「あまりにも形骸化している」品質保証制度となっているのだ。

 2012年12月以降のデータが残っていたという。すると、927/6530(件)≒14%となり、排気ガス検査で作業ミスが14%余りあったことになる。普通、これを見逃す管理者がいるはずもあるまい。故意に不良を無視していたことになる。係長・課長・部長・品質保証本部長が知らなかったのだろうか?故意に無視しなければありえないことだ。このことは、データが保存されていない過去も含めて信頼性は全く望めない。

 この状態だからこそ、「スキャンダル」のように弁護士に依頼することとなったのであろう。一般的に考えれば、弁護士が完成検査を理解できるはずはないだろう。排気ガス検査においても、JC08モードで試験台の上で正確に運転するのはかなりの緊張が必要だ。熟練も必要であるし、環境を整える設備のメンテナンスも必要だ。つまり、スバル経営陣は「排気ガス検査」に全く興味がなかったといえるだろう。

 その中で、担当者のモチベーションが変化し仕事がどのようになっていくのか、経営者が理解できないのであろうか?「トップが関心を待たない」状態で、さらに係長が関与していない仕事であれば、作業者は「自分たちの都合で仕事を曲げていく」のは目に見えている。「お役所仕事」と言われる体質を作り出しているのと同じだ。つまり人間は「楽な方向に流れていく」のだ。

 次は、社内のコミュニケーションの在り方について見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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