ハーレー・ダビッドソン海外に(2) トランプ大統領に反旗を翻す ピケティ氏の富の配分に注目
2018年6月27日 21:02
日本でも13万部のベストセラーとなった「21世紀の資本」の著者、トマ・ピケティ氏に言われなくとも、「富の配分」を間違えると、このようになるのは明白なことなのだ。資本主義には、元来この欠点がある。「1%の人が世界の富の70%を所有する」となると、「社会の歪が大きすぎる」と判断すべきだ。資本主義はそのシステムに内包された矛盾から、「常に対象とする市場の拡大」を求めなくてはならず、アメリカンファンドは既に開発途上国に触手を伸ばし、小国の土地を買い占め、国民を追い払うなど、その国の政権を牛耳る動きもしきりにある。中国資本の動きも顕在化している。
【前回は】ハーレー・ダビッドソン海外に(1) トランプ大統領、結果的に資本に対抗する庶民の英雄か?
資本主義経済は宿命として、世界に開発途上国がなくなるまでグローバル化を続けねばならず、中国・インドなどアジアの国々が発展してきた現在では、ターゲットはアフリカ諸国となっている。まだ半世紀ほどはこの状態でも続いていけるとは思われるが、20世紀に起きた2つの世界大戦は、すでにこの「覇権主義の衝突」だった。現在は、軍事力による植民地主義をあからさまに行える世界でなくなったが、軍事力を背景にした経済的支配を争っていることは間違いのないことだ。
北朝鮮情勢は実質、中国・アメリカ・ロシアの覇権争いだ。日本も太平洋戦争以前は列強の中にいたが、現在も経済大国に変わりはないので、資本主義経済を維持していくにはグローバル化に参戦するしかないのだ。TPPは日本経済にとって重要なことで、ハーレー・ダビッドソンがトランプ大統領に反旗を翻したように、強力に進めていき、トランプ氏を説得するしかあるまい。だがそれは、国民の当面の幸せにつながっていったとしても、根本的には格差の増大をもたらし、「1%の金持ちに99%の国民が牛耳られる社会」を作るだけなのだ。
これが「人間の知恵の限界」であることを、大人であるのなら基礎として知っておく必要がある。つまり、「ブランド主義」のレベルの「知恵足らず」でいると、IS(イスラム国)はまた生まれ、封建時代から続く「支配者と牛耳られる庶民」の構図はいつまでも続く。しかしそれを子供たちに教えておくことで、いつかこの「矛盾を脱する知恵」が生まれるかもしれない。少なくとも経済学者を名乗るのであれば、「資本主義に代わる経済システム」を開発しなければなるまい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)