メルセデス・ベンツ新型S450 新感覚HVでデビュー プロが考えるモーターアシスト(1)
2018年6月12日 07:25
「スバル・新型フォレスターと共通点あり」と言いたいのだが、ベンツだから、その狙いも仕上がりも桁違いなのであろう。20年ぶりに復活させた直列6気筒エンジンは、ターボチャージャーに48V電源のスーパーチャージャーを加え、さらにISGと呼ぶ最高出力16kW・最大トルク250Nmのモーターを加え、低速からのトルクが極めて強く、スムーズで使いやすいパワーユニットとしたようだ。燃費に関しては、この方式であると「トヨタ方式HV」には及ばないと思われるが、スバル・新型フォレスターのシステムにも通じるもので、エンジンの低速トルクを補い、高速まできわめて使いやすいエンジンシステムであると言える。
■注目「新型ハイブリッド(HV)・パワーユニット」
今回発表されたS450には新型6気筒エンジンが搭載されたが、ISG(スタータージェネレターを兼ねたオルタネーター)、つまりスタータを兼ねた駆動用モーターをエンジン直後に配している。これはHVと言えなくもないが、メルセデス・ベンツではHVと呼ばないようだ。このパワーユニットについて考えるのなら、まずガソリンエンジンの問題点を理解しておく必要がある。
基本的にガソリンエンジンは低回転トルクが出ないので、発進時に苦労している。MT(マニュアルミッション)では、発進時、「半クラッチ」が必要なのは知れたことだ。そのためATになっても、トルクコンバータがついていたり、自動乾燥クラッチであっても半クラッチの動作が必要になっている。それは発進時、急激に車重をかけるとエンストしてしまうからだ。つまり、低回転ではエンジンはトルクが少ないので負荷をかけるには、ある程度回転数を上げておく必要があるのだ。一方、モーターは1回転目から最大トルクを出すことが出来る。そのため基本的には、クラッチやミッションを必要としないのだ。通常、リダクションギアをセットで用いるモーターが多いが、それは設計の仕方でモーターの小型化のためだ。そのリダクションギアを多段にすれば、結局のところミッションとなってしまう。
電源とインバーターなどのコントローラーを強化して高回転域までモーターに受け持たせることが出来れば、ギアの必要がないのがEVの良いところだ。
次は、この基礎知識を持って新型S450のメカニズムを見てみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)