スバル、立ち入り検査を受ける(2) 国土交通省は品質保証を管理できるのか?
2018年6月2日 07:52
■国土交通省の品質保証の実力はいかに?
国土交通省の担当官僚に、製造業の現場の品質管理技術があるとは到底思えない。それは仕方のないことで、こうした問題が起きたときの対処する人材も組織も想定されてきていないからだ。「品質管理」は、組織の作業員全員の心の持ち方まで管理できていないと、なかなか不良を防げないものだ。この難しさを知っている監督官庁側の監督官が存在しないと、スバルの報告書を見抜くことはできない。
【前回は】スバル、国土交通省の立ち入り検査を受ける(1) スバルは品質保証能力があるのか?
財務省についての一連の問題の顛末は、トップダウンのみの組織では品質保証は困難であることの証明のようなものだ。たとえ書類を隠蔽するにしても、とても管理されている組織ではない。管理とはガバナンスをきつくすることではない。組織の真の目的を成し遂げるために必要な縛りであり、「共感した協力」なのだ。
おそらくは、今回のスバルの不正も、現状の国土交通省の体質では、やはり形式的な指導で収まるしか方法はあるまい。もし実行可能性のある対策をスバルに取らせるとすれば、第三者の品質管理技術者を国土交通省の監督官の補佐役として任命し、数年に渡って指導することが必要であろう。実質的に倒産した企業の民事再生などを行う場合、弁護士にビジネスモデルの専門家を補佐役として付けるように、監督官に品質管理の専門家を付けるのだ。
日本大学の体質を見れば、改革がどのようなもので、いかに困難かは察しがつくであろう。品質管理とは、組織の体質が問われているのだ。日大も教育機関として再生を図るには、組織運用の専門家が必要だ。「管理技術」の存在すら知らないと考えられる現在の幹部では、改革は不可能だろう。日大の学生としては大変な損害だが、日本社会全体としても教育システムに重大な欠陥が潜んでいることが見えている。ショックでありチャンスでもあるが、ボヤボヤしているとめったにないこのチャンスを逃してしまうのであろう。スバルの幹部、国土交通省の監督官も、深慮してほしい時である。
少子化、極度な高齢化社会を迎えるという、国の独立を危ぶまれる大失敗を犯した日本社会の再生を考えると、僅かな希望を託して、スバル不正事件の事態の推移を見守ってみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)