自動車メーカーのプラットフォーム開発競争(4) 技術的影響は2.操縦性能

2018年6月1日 06:53

■プラットフォームがもたらす技術的影響2.操縦性能

 自動車のプラットフォームは、剛性が強いと操縦性能も上がると考えられている。その関連性については誤解もあるが、「制御できていない動きがサスペンションに起きる」のはプラットフォーム自身のゆがみが原因だからだ。これを制御できると、サスペンションセッティングがやりやすくなる。ラリー車などでエンジンルームにタワーバーなどを取り付けるのは、車体のねじれを抑える、つまり剛性を強化するためだ。

【前回は】自動車メーカーのプラットフォーム開発競争(3) 技術的影響は1.衝突安全性

 一方、ラジコンカーでは、ボディのねじれがサスペンションの機能を果たしている。カーボンなどスプリング効果の大きな素材で模型のプラットフォームを作ると、実車に見られるスプリングを必要としない。しかし、そのままでは「不規則に弾んでしまい」制御が出来なくなる。そこで、プラットフォームのねじれる方向に沿ってXにダンパーを配したりしている。つまり、プラットフォームのねじれは立派なスプリングであり、制御しないと車のセッティングが出来ないということだ。

 実車では、プラットフォームのねじれにダンパーを付けて制御する考え方はあるようだが、まだ一般量産市販車では見ていない。一般的には剛性を上げて、出来るだけスプリング効果を押さえようとしてきた。将来、プラットフォームやボディの素材が変わり、スプリング効果を利用できるようになってくると、軽量化のため、それにダンパーを取り付けてサスペンション機能を持たせることもあるかもしれない。これには「乗り心地」が関与しているので、「新発想」を期待したい。

 現在、プラットフォームは剛性を強くし、出来るだけ動かないようにして、サスペンションセッティングをしやすいようにする方向が正当だ。つまり不規則な動きを押さえて、制御できるようにしているのだ。不規則な動きが抑えられると、サスペンションセッティングが整えやすくなる。

 乗り心地をよくするのには、スプリングを柔らかい方向にして、ダンパーで振幅を抑える方法が主流となってきた。これは小振動を吸収して、接地性を損なわないようにするには良いようだ。ワインディングロードではハンドル操作に素直に反応し、街乗りでも柔らかい乗り心地を提供できる。これは、BMW Mなどドイツ車のスポーティーカーに始まり、日本で最もコストパフォーマンスの優れたものとしてはスバル・インプレッサなどがこの方向であり、合理的なので世界の流れとなってきた。

 次は、「プラットフォームの共通化は失敗してきた」とする見解について検証してみよう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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