ものを壊す機械をつくるオカダアイヨンの強気
2018年5月26日 17:31
5月17日の前期決算説明会でオカダアイヨンの苅田(かんだ)俊幸社長は開口一番「ものを作るのでなく壊す機械をつくる会社のかんだです」と言って、会場の笑いを誘った。
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事実、これまで同社を牽引してきた商品は「各種の解体アタッチメント」(工事現場などでおなじみの油圧式ショベル等の先端に取り付ける解体機械)であり、大型建造物を文字通り破壊する際のクレーン車の先端に取り付ける「TS-WBクラッシャー(大割機)」。売るだけでなく、その激しい使われ方からして必須の部品交換・補修までを一貫して手掛ける企業として不動産・デベロッパーの世界で好評を博してきた。
そんな同社に昨年、熊本県の南星機械グループの3社が傘下入りした。ダムの建設用ケーブルクレーン(ダムの両岸からダムを跨ぐ形でケーブルを張り荷物を運ぶ機械)といった建設関連機械の他、林業グラップル(切り倒した木を束にして掴み均等の大きさに揃え切る機械)で屈指の会社である。バイオマス燃料創出機といえる。
いま苅田氏の鼻息は荒い。「2020年後、再開発一巡後に不動産・建設関連の需要は一巡しせいぜい高止まりとする指摘がある。が認識不足。社会インフラの寿命は50年。老朽化したインフラ施設がゴロゴロしている。不動産・建設、そして我々のような業者はまだまだ世の中からさらなる活動を求められる。バイオマスエネルギーも不可欠な社会インフラのはず。うちの商売が後退するようじゃ世の中荒れる一方」といった具合。かつ問わず語りにこうも言及した。
「南星は林業機械にとどまらず、産業機械でも一級企業。製造、つまり川上に強い。対してオカダアイヨンは販売・フォローの川下に強みを持つ会社。化学反応を起こすことで、うちは一段と特徴的かつ強い会社になる」
海外への進出にも注力している。「20年度には北米を中心にアジア・欧州を合わせ売上高40億円計画」(苅田氏)と算盤勘定も予想してみせた。
決算説明会で「経営者を買うのも一法」という経験則を、久方ぶりに思い起こした次第である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)