カゴメを見直した
2018年5月21日 11:46
人間なんて自身で目に耳にし、体験したことだけで判断を下しがち。自分もまさにそんな一人であることを知らされた。物書きの端くれとしていま、猛省している次第。
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私にとって「トマトジュース」などで知られる大手食品メーカーのカゴメは、「お主、やるのー」であり「なにを考えているのだ」という会社だった。前者は海外子会社への資金融資に際し豊富な手元流動性を持ちながら、商品化前のペースト状のトマトを担保に銀行融資を受け子会社の資金に充当したと知った時だった。後者はいまでも時々目にするが「これが本当に作りたかったトマトジュースです」という、通販限定(店舗等では買えない)の商品販売を行っていることを知った時だった。問いかけに「店舗販売等への影響はありません」と返された。
だが今回は「消費者を心から大事にする会社だ」と、つくづく痛感させられた。
ことの起こりはツイッター上でのカゴメを不合格になった学生の書き込みにはじまった、「カゴメGOOD」の炎上だった。不合格になった学生の手元にメッセージが添えられたカゴメ商品が贈られてきたというのである。カゴメの広報担当部門でも「10年以上前からのならわしです」とし、あるメディアにこうコメントを発している。
「弊社の企業理念の一つに、『感謝』というものがあります。(社員募集に)エントリーしてくださった方々への贈りものは、感謝を具現化したものです。エントリーシートというのは非常に大変なステップだと考えています。企業について調べ、自分の思いを書く、学生の皆さんはこれを何社もやっています。あまたある企業の中から弊社を選んでくださり、この大変な作業を行ってくれた応募者の方に感謝の思いを伝えるため、弊社の商品を贈っています。また、就職活動期間というのは一時的なもので、以降も応募者の方とカゴメとの縁は続いていくものだと考えております」
ただ根っから天邪鬼の私は、それでもなおかつ「安定した個人株主づくりの種蒔きにも有効だろうな」などと考えてしまうのである。(記事:千葉明・記事一覧を見る)