CX-3最大の弱点克服は成ったのか?マツダ・CX-3ビックマイナーチェンジ(1)
2018年5月18日 18:48
マツダは5月17日、同社のSUVとしてはもっとも小型の「CX-3」に大幅な改良を行った。同時に、特別仕様車Exclusive Mods(エクスクルーシブ モッズ)を発表し、5月31日に発売するとした。注文受付は5月17日より開始する。2015年2月の発売から3年余りの短い期間で、4回のチェンジを行った「CX-3」の狙いを紐解こう。
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■改良点その1:サスペンションセッティングと乗り心地向上
今回改良された「CX-3」には、「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ-ビークルアーキテクチャー)」とマツダが呼ぶ次の世代の車体構造を一部取り入れたとしている。これは構造全体の見直しで、衝突衝撃を分散する構造や、構造部材の形状変更、ハイテンの使用を増やし、スポット溶接の接合点を増やし、接着剤の使用で各部材の接合を強化するなどをしている。これにより、強度で30%増し、8%の軽量化を成し遂げている。この研究は、これからも続いていく。
サスペンションセッティングに関しては発売当初より不評であり、改良が続けられてきた。今回の改良ではスプリングを柔らかくし、ダンパー径を大きくして効果を速めた。さらに今回は、タイヤのスプリング効果も見直し、柔らかいセッティングを求めたようだ。これで、CX-3歴代の弱点克服は成功したのであろうか?
乗り心地に関しては、スプリング・ダンパー・プラットフォーム・シャーシ・シート・搭乗者のお尻の肉厚まで関係しているようなのだ。その中でスプリング・ダンパーの調整だけでは理想の結果が得られないと考えて、今回はタイヤまで作り直したようだ。しかし、18インチタイヤはどうしたことだろう。この車のサイズでは40%以下の扁平率となるので、サイドウォールのスプリング効果を落としても、オーバーサイズになりはしないのか?バネ下重量を考えると制御は難しいと思える。
ダンパーの径を太くすることは、現代流のサスペンションセッティングに即したもので、街乗りでの乗り心地を優先し、ワインディングロードでの操縦性能も両立すると、バネは柔らかくダンパーを効かせて、接地性を高めることになる。BMW、ベンツなどドイツメーカーの最近の傾向だ。30年ほど前から、レーシング性能を街乗りに適合させるチューナーでは見られた技術だ。採用が遅れた感がする。
2回目のマイナーチェンジを受けたCX-3を試乗したとき、後輪サスペンションが街乗りで弾んでいるのが気になった。その時は、5名乗車時、あるいは荷物を積んだ時に合わせてセッティングしたものと理解していたが、やはりサスペンションの機能そのものに、欠陥とまではいかないが調整不足の感があったのが事実だ。今回、サスペンションセッティングの調整と共に高減衰シートクッションを採用してきたのはタイムリーであったと感じる。
G-ベクタリングコントロールとの関連性は、実際に乗って、ある程度振り回してみないと分からないのだが、CX-5などの操縦性には大きく貢献していることがうかがわれた。マツダはこの装置についての宣伝には成功していないようだ。もっとも操縦性が分かるユーザーが減ってしまい、装置があることで、乗り心地や安全性が担保されているとのイメージだけで良いのかもしれない。しかし、G-ベクタリングコントロールは、イメージだけでの認識ではもったいないほどの出来と感じるが・・(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)