オートバックスセブン、同じ轍は踏まないでしょうね
2018年5月14日 15:51
オートバックスセブンが「2020年度末までに、タイヤの全販売本数に占めるネット通販の比率を10%までに高めることを目標にする」と公にした。会社側はその理由を「(自動車用品を)ネットを介して購入するユーザーが増えている昨今、総売上高の1%以下と出遅れていたためです。出遅れを取り戻します。掲げたタイヤの販売目標はその象徴です。経営にECを積極的に取り込んでいきます」としている。
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至2020年3月期に向けて進行中の中期経営計画でも、その姿勢は確かに読み取れる。「営業利益120億円、ROE7.0%」や株主還元策の基準を「DOE(株主資本配当率)から、配当性向50-100%に変更する」といった数値目標を掲げた一方で、例えば「現状認識:競合」という項目では「カーディラーなどのカー用品・サービスの強化が、低価格かつ豊富な品揃えがネット販売で増加している」という認識を示している。ネット通販のビハインドにより、収益面でも縮小に追い込まれる危機を強く警戒していることが滲み出ている。また「新規事業」の項目では「BtoB事業」を上げ「ECによる部品販売の拡充」が打ち出されている。更には「事業再生」策として「ネット等による予約の充実」が示されている。
同社のECの現状は自社サイト「オートバックスドットコム」と「モールサイト(アマゾン・楽天・ヤフー)」を併用している。対象となるカテゴリーは広い。「タイヤ・ホイール」「ドライブレコーダー」「カーナビ」にはじまり、30余に及んでいる。「遅れを少しでも取り戻そう」という姿勢は、認められる。がことが順調に進むか否かは、とにもかくにも実績の積み上げを見定めなくてはならない。何故ならオートバックスセブンには、前科があるからだ。
至18年3月期の中計で同社は、こんな数値目標を掲げた。「ECの売上高100億円(14年3月期比86億円増)」が結果は冒頭に記した按配。オートバックスセブンの店舗は大方がフランチャイジー。現在でも自社店舗24に対しFCによる運営店舗は450。FCの「ネット通販の注力で我々の実店舗の売り上げ減が懸念される」という猛反対に、前に歩みが進められなかったのである。
まさか「同じ轍を二度踏む」ことはないでしょうね。(記事:千葉明・記事一覧を見る)