製薬企業の味方フロイント産業の最近の一手
2018年4月30日 19:11
JASDAQ上場の企業にフロイント産業がある。1964年に伏島靖豊氏により、世界に先駆けて開発した「錠剤(薬)の自動フィルムコーティング装置」「フィルムコーティング液」を引っ提げて起業された。製薬業界に明るいアナリストは同社を「製薬メーカーの力強い裏方企業」と称する。錠剤医薬品の各種ソリューションに対応する装置・機械メーカーである。錠剤の表面に薄い皮膜をコーティングする製剤装置では、国内のトップシェアを占めている。
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主力商品は「タブレックス」シリーズ。最新の製品一口で言えば、加齢に伴い眼力が衰えた高齢層に優しい装置。錠剤の外観検査機能も搭載した「錠剤印刷」機械。従来は表面がコーティングされていない錠剤に印刷を施すことはできなかった。対して新装置では全ての錠剤薬に、薬名が表裏同時に高精細な刻み込みが可能となった。高齢者に少なくない「投薬ミス」「薬の飲み間違い」を防ぐ目的で開発された。ちなみに「外観検査機能」の搭載は、以前は印字ずれがないかなどを目視で検査し不良品を分別していたがその工程を省くことができる。
同シリーズの装置の中には偽薬の流通に悩まされている欧州市場に向け、「特殊な光を当てると薬名が浮かび上がって見える不可視印字機能」を有する装置が開発され期待を集めているという。装置(機械)部門では「シームレスカプセル装置」なども特徴的な製品である。
医薬品添加剤事業も展開されている。10余種が開発されている。同事業の意図するところは2点。「良薬、口に苦し」とされたりするが、せっかくの薬効が苦味や臭気が原因で活用されないケースも少なくない。そうした場合に薬効を失うことなく喉を通すための添加剤である。また持続性とか腸溶性が求められる薬剤の目的をフォローする添加剤である。
いわば同社は「製薬メーカーの強力な助っ人」企業。普段は余り問沙汰される存在ではないかもしれない。ゆえにあえて記しておきたいと考えた。フロイント産業の財産は知的財産権数に象徴される。国内外で出願中のものも含め「特許」「実用新案」「意匠・商標」の数は3000以上に及ぶ。また内外の学術雑誌に投稿・掲載された論文数は100編以上に達している。(記事:千葉明・記事一覧を見る)