トヨタがレンタカー部門を拡充する理由
2018年4月24日 12:27
自工会が4月初旬に10代から20代の若者1,000人を対象にしたWEB調査でこんな事実が判明した。
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*車を保有していない800人のうち「買いたくない+あまり買いたくない」という答えが54%に達した。
*非保有者のうち購入意向があるとした366人も、車の利用方法としてレンタカー(71%)次いでカーシェアリング(51%)と答えた。
「若者の自動車離れ」を、あらためて浮き彫りにした。
だが単一の自動車メーカーとしては世界最大のトヨタ(昨年の世界生産台数は単体で約900万台)は、「より高性能かつより低コスト」の車開発の手を緩めることはできないという宿命を背負っている。「かんばん方式」は既に昔の話。この間は「TNGA」と呼ぶ車両開発手法を導入してきた。TNGAは「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」の略。車台(プラットホーム)や部品を複数のモデルで共有するなどして「燃費・動力性能」や「ボディー剛性」を大幅に引き上げる一方、コストなど開発リソースで20%以上の削減を前提としてきた。しかし正式コメントではないが、トヨタの関係者の間から「大幅な性能向上は得られるものの、現時点でコスト削減効果は期待に沿ったものになっていない」という中間報告が漏れ伝わってきた。
そして三題噺のお終りは、豊田章男社長の「車をつくる会社から移動手段(モビリティ)を提供する会社へ変える」という発言である。具体的にはレンタカー事業の拡充である。スマホのアプリによる「かんたん予約」「こだわり予約」を導入した。前者は全国に約1,200店舗ある「トヨタレンタリース」とこれまでのホームページからの予約に対し、半分以下の操作数で予約が可能。後者はスマホ画面で返却までの残り時間や、緊急時に借りた店舗との連絡が可能な機能を付加したもの。当然、延長線上にカーシェアリングの注力も視野に入れている。ちなみに国内の使用レンタカー台数は2013年末の約61万台から昨年末には約80万台に増加している。
記した三題噺は、トヨタに限ったものではない。時代は自動車メーカーの在り様も変えていく。自工会から「今月の人気レンタカー車種ベスト10」が発表される日が来るかもしれない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)