EV加速!中国20年にEV、22年までに全自動車の外資規制撤廃 米中貿易摩擦回避

2018年4月20日 02:26

 中国市場において50%までの外資出資規制が撤廃されれば、国策で進めるEV化が全世界のメーカーを巻き込み、急速に進展することが確実視される。これは、世界でEV化に出遅れたものが淘汰されることを示す。

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 中国の自動車市場は、現在でも世界最大。2017年 新車販売台数は2887万台。米国の1.7倍、日本の5.5倍だ。中国での販売実績では、フォルクスワーゲン、ゼネラル・モーターズ、日産、ホンダ、トヨタの合弁会社が上位にランクされている。この市場において、EVは手厚く政府から支援策を受けており、「トータルのエネルギー消費量を勘案した(Well to Wheel)燃費規制」は棚上げにしても、EVでシェア争いをしなければならない。

 しかし、外資は出資比率で50%以上を占めることが出来ず経営権が握れなかった。それは、合弁事業による技術の流出が激しく、防止することができないことを意味していた。例えば、中国新幹線の車両は日本製だが、中国が独自の技術として世界に売り込んできたように、「知的財産権」を中国は無視してきた。また、現在の中国の自動車産業は、外資の技術を吸収して盛んになってきた歴史がある。これをさらに進展させ、EV産業で覇権を握るには、「知的財産権」を国際基準で守り、「資本の自由化」が正常に行われることが必要だった。対米貿易摩擦の大きな課題だった。

 今回発表された外資規制の撤廃は、「2018年にEVなど、2020年にトラック、バスなど、2022年に乗用車」とする内容だ。2017年4月中国の自動車産業「中長期発展計画」で述べられた、「25年までの外資規制の緩和」を前倒しする計画となったのだ。中国政府は、自動車以外に、2018年末までには造船、航空機などでも外資規制を撤廃する。これは対米貿易戦争を避ける狙いなのではないかとみられる。

 中国自動車市場はさらに大きく伸びると考えられるが、そのシェ争いでは、世界の自動車産業がしのぎを削ることとなろう。そして当面EV化を推し進める中国としては、テスラとの合弁事業が難航しているので、取り込みたい狙いがあるものとみられる。また、ボーイングの中国生産を考慮しているのかもしれない。航空機産業においては最新鋭機で比較すると、やはり中国は0.5世代遅れていると感じられる。ボーイングの持つ製造技術には「設計開発管理技術」・「カーボン」など最先端の技術があり、外資側の警戒感を取り除きたい狙いも見え隠れする。

 一方で、中国側の出資者をないがしろにすると協力を得られないことになる。つまり、「技術の習得を目指す狙い」を外してしまうと、中国側の出資者が手を引く恐れも出てくる。「増資して経営権を握る動きは慎重にならざるを得ない」とする外資側の見方もある。

 アメリカが「保護貿易」の方向に動き、中国が「自由貿易の旗振り役」である姿は、実に奇妙な動きであると感慨をもって筆者は受け止めている。中国が「国際レベルの文化」となり、アメリカが「TPP参加検討」を表明するなど、事態が各国協調に進展することで、将来の帝国主義、覇権主義で起きる戦争を回避する動きになることが望まれる。「2度の世界大戦の真の原因」と分析されているのだから、人類は知恵をつけてほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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