技術力こそ命 ワイヤーハーネスのオーナンバ
2018年2月22日 15:58
周知の通りパナソニックが収益力強化策として「自動車(部品)の拡充」を打ち出した。自動車の複雑に絡み合った部品の状況を見る機会を得た。部品は「ワイヤーハーネス」と呼ばれる「電線の結合体」でつながれていた。ワイヤーハーネスとは複数の電線を結束体・チューブ・粘着テープなどでまとめ、端部に複数の電線を一度に接続できる多芯コネクタを取り付けたもの。多くの電気配線を必要とする多様な機械装置に用いられている。代表格が「自動車用ハーネス」というわけだが、他にも「広範な産業用機械(ロボットを含む)」「(LED)照明用」「白物家電用」「事務機器用」等々その適用範囲はまさに広範。
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ワイヤーハーネス業界の現状が気になった。混戦状態にあるのか、それとも寡占状態にあるのか。結論を記すと「寡占」とまではいかないが、長年「首位の座」を維持している上場企業があった。オーナンバ。失礼ながら、日頃あまり耳にする存在ではない。だがアナリストの評価は高い。「優れた技術開発力が、首位の座を守り続けている最大の要因」とする。
例えば前2017年12月期にも、こんな製品を開発している。『IoT-Finder』、そして『IoT-Finder×AEセンサー』。前者はワイヤーハーネスが用いられている工場では常に「機械が故障しラインがストップしたら大ごと」という不安を抱えている。工事現場などでは「機械のメンテナンス費用と時間を短縮したい」という課題を抱えている。例えば病院などでは「手術中に停電して機器が動かなくなってしまったら」という危惧と、背中合わせにある。こうした問題に対し「設備や機器の状態を、見える化」し、異常を早期に把握できる製品。「見張り役をつけなくても稼働状況を常時監視」->「設備・機器の予期せぬ故障を検知し、解析・判断する」->「その結果は契約担当部署にメールで通知する」製品。後者はさらに懸念される微小な事態(歯車・軸受けの摩耗やワイヤーの断裂、プレス機のき裂などなど)でも、「正常・注意・警報」の3段階方式でパソコンや携帯電話などから無線通知する製品。
アナリスト曰く、「こうした技術開発がストップしてしまった時、同社の首位も揺るぎかねない。厳しい業態といえる」。(記事:千葉明・記事一覧を見る)